2006年03月17日

ヴェスター総集編〜ニーナ編(5)

(あの時、ラルフの背中が大きく感じて、私は、なぜかラルフの背中を見て、ドキドキしたんだけど、あれは、一体何だったんだろう?
 ラルフのヴェクト・ソードのおかげで、ゴーレムを倒すことができて、とりあえず、モンスターとの戦いは終わった。
 そして、ラルフもそろったところで、私達は、リグアーさんに教えてもらったエネルギー補給基地に、向かうことになったんだ。
 途中でダークソリアを倒そうって言った時は、デスやんはひどく怯えてたけど、でも、結局、デスやんも、私達に力を貸してくれた。
 そこからは、もう実戦で魔法を使っては、モンスターを倒していく毎日だった。
 特に、リグアーさんと別れてからは、一人一人の負担が大きくなったからね。
 私は、覚えた魔法を、次々とモンスター相手に試していった。)

 デスやんはドラゴン・ブレスを5匹のガーゴイルに向けて放つが、ガーゴイルはすばやく炎をかわすと、デスやんの周りを包囲する。
 その時、上空に雷雲が広がる。
「デスやん、危ないから気をつけてね。」
 ニーナはそう言うと、ガーゴイルめがけて魔法を唱えた。
「ギガボルト!!!」
 ニーナのギガボルトは、ガーゴイル2匹に命中するが、残りの3匹にはかわされてしまう。
「やっぱり、リグアーさんのようには、うまくいかないなあ。」

(この頃の私は、新しい魔法を使うのが楽しみで仕方がなかった。
 でも、デスやんと話している内に、自分がとんでもないことをしてきたんじゃないかってことに、気づいたんだ。)

 ニーナの様子が、おかしいことにデスやんも気づく。
「ニーナはん、どないしたんや。」
「私、今までモンスターのこと、何も考えずに戦ってきた。
 モンスターだって、この世界で必死に生きてるのに、私は、魔法で・・・」
 ニーナはそう言うと、涙ぐんで言葉を詰まらす。
「ニーナはん、それはしゃあないよ。
 元はといえば、襲いかかって来るモンスターの方が、悪いんやから。」
「違う、私は、魔法が使えることが嬉しくて、モンスターに魔法をかけて、殺してきたんだよ。私は・・・なんて・・・ひどいことを・・・」

(モンスターが襲いかかって来る以上、自分達の身を守るのは仕方がないとしても、それでも私は、もう絶対にモンスターを殺さないって、この時決めたんだ。
 ラルフとガルックにはわかってもらえなかったけど、私はモンスターを殺さないって考えを、変えるつもりはなかった。
 で、そのために覚えた魔法が、パラボルトだったんだよ。
 その後の、ダークパレスでの出来事は、忘れられないなあ。
 デスやんに頼まれて、私は、聖なる方陣のペンダントに、必死に祈ったんだ。
 ダークソリアに囚われてる魂が、成仏できますようにって・・・)

 しばらくすると、ニーナのペンダントは光りだすと、ダークパレスに向けて、まばゆいばかりの光を放ち始めた。

 その光のまぶしさに、ラルフもガルックもデスやんも思わず目をつぶる。
 ニーナだけが、その光の先をじっと見つめていた。
 光に包まれた闇のモンスター達は、次々と消滅していくと、闇から解放された魂が、次々と空に昇っていく。

(ありがとう・・・)
「えっ!?」
 ニーナは、今、確かにありがとうという声を聞き取った。
 その瞬間、ニーナは、自分の心にあった、もやもやしていた霧が晴れたような気分になった。

「私の方こそ・・・ありがとう・・・」
 ニーナはそう言うと、いつの間にか、頬を伝っていた涙をぬぐいながら、昇っていく魂を見送っていた。

(本当にアリガトね・・・
 私、あれで、自分の気持ちがはっきりしたから・・・
 こうして、私は気持ちをふっ切って、ラルフ達と一緒に、ダークソリアに戦いを挑んだけど・・・
 結果は一方的にやられて、しかも、デスやんが・・・)

「俺達を・・・守ってくれたのか?」
 ラルフはそう言うと、恐る恐るデスやんの元に近寄る。
「デスやん、しっかりして・・・死なないで・・・」
 ニーナは、デスやんの元に駆け寄ると、必死にデスやんに声をかける。
 だが、デスやんからの返事がない。
「デスやん、死ぬんじゃない・・・」
 自分達の命を、体を張って守ってくれたデスやんに、3人は目に涙をためながら、必死で呼びかける。

 その時、
「・・・いじょうぶや・・・」
 かすかな声でデスやんが答える。
「デスやん、ありがとう。」
 ニーナは、デスやんにしがみつくと、そのまま泣きついた。
「ワイは・・・幸せもんや。
 ワイのために、泣いてくれるなんて、みんな、優しい人達やな。
 でも、ワイはドラゴン・ゾンビやから、本当は既に死んでるんやけどな。」
 デスやんはそう言うと、3人の方を見て笑う。

(笑えないよ・・・デスやん・・・グスン。
 でも、デスやんは傷ついた体で、私達を背中に乗せて、キルアのエネルギー補給基地まで連れてってくれた。
 やっと、これでキルアに帰れるって、私は内心昂ぶってた。
 でも、それがデスやんとのお別れだってことに、全く気がついていなかったの。
 結局、私は、自分のことしか考えてなかったんだ。
 ああーーっ、私のバカバカバカ・・・)

「ねえ、ラルフ、デスやんも、一緒に連れて行けないかな?」
 ニーナがラルフに尋ねるが、ラルフは首を横に振る。
「ニーナ、俺達は、デスやんがいい奴だって知ってるからいいけど、他の人達は、そうは思わないだろう。
 キルアに行っても、デスやんには辛いだけだと思う。」
「私が、皆を説得するよ。私が・・・」
「いいんや、ニーナはん。ワイはドラゴン・ゾンビや。
 モンスターであるワイは、地球に残ったほうがええ。」
 デスやんが、ニーナにそう言うと、ニーナの目から涙がこぼれてくる。

「ニーナはん、アンタは、本当に優しい人やな。
 いつまでも、ワイの大好きな優しいニーナはんでいてください。」
「ウン・・・ありがとう、デスやん。」

(私、ちっとも優しくなんかないよ。
 自分のことばかり考えて、デスやんのことを、ちっとも考えてなかったんだから・・・
 でも、これからは、デスやんの言う優しい人になれるように、努力するよ。
 それだけは・・・約束するからね・・・デスやん・・・グスン・・・
 ダメだ・・・ここから先は、思い出すのが辛くてたまらないよ。
 デスやんのおかげで、補給船に乗り込んだ私達だけど、そこにダークソリアが現れて・・・
 キルアから来た超人類達ですら、ダークソリアには手も足も出なくて・・・
 でも、デスやんが・・・命をかけて・・・私達を助けてくれた。
 私達が、今、キルアにいるのも、デスやんのおかげだよ。
 ありがとう、デスやん。
 デスやん、私のことを好きだって言ってくれたけど、私もデスやんのこと、大好きだったよ。
 私、恋とかそういうの、まだよくわからないから、もしかしたら、デスやんのこと傷つけたかもしれない。
 でも、これだけは本当だから・・・
 デスやんは、私のかけがえのない、大切な友達だったから・・・)

 ズドオォォォォーーーーーーーン!!!!!

 その時、凄まじい爆音が、ニーナを現実の世界へと引き戻す。
(えっ、な、何、この音は?
 この魔力は・・・もしかして・・・ダークソリア?)
 気がつくと、ニーナはガルックの部屋で寝ていた。
 慌てて、ラルフのいる中庭に飛び出す。
(デスやん、見ててね。ダークソリアは、きっと、私達の手で止めて見せるから・・・)
 ニーナは、そう心の中で誓いながら、爆発音のした宇宙港に向かって走り出した。


ヴェスター総集編〜ニーナ編(完)


あとがき
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2006年03月16日

ヴェスター総集編〜ニーナ編(4)

(私、この時、うっすらとしか意識がなかったので、よくわからなかったんだけど、この時のラルフの強さは、鬼神のようだったと、後からガルックに聞きました。
 本当にありがとう、ラルフ。
 しばらくして、ラルフの怪我が治ると、私達は、魔法を身につけるために、修練の谷に向かうことになったんだ。
 途中で、死の森って呼ばれる、恐ろしい森を通ることになったんだけど、そこで、デスやんと初めて出会ったんだよ。)

 こうして、ラルフ達とデスやん率いるゾンビ軍団との死闘が始まるかと思いきや、テントの中からニーナが起きてきた。
「みんな、どうしたの?」
 眠そうな目をこすりながら出てきたニーナだったが、周りをゾンビに囲まれているのに気づくと、ニーナは慌ててラルフ達の元に近づくと、近くにあったフライパンを握り締めた。
「めちゃくちゃ、可愛い。」
 そのニーナの姿を見て、デスやんがニーナを見てつぶやく。
「へっ!?」
 デスやんの言葉に、ただただ驚く3人。
「わし、あんさんに一目ぼれしました。付き合ってくれまへんか?」
 ニーナに一目ぼれしたデスやんはいきなりニーナに告白する。
 それを聞いて、思わずずっこける他の3人。

(よく考えたら、この時、既にデスやんから告白されてましたね。(汗)
 でも、私は告白よりも、モンスターがしゃべることの方に驚いて、それどころじゃなかったんだけどね。
 でも、デスやんが、私達の仲間になってくれた時は、どんな相手でも、話し合えば分かり合えるんだなあって・・・
 んー、それはちょっと違うのかな。
 デスやんが味方になってくれて、これで無敵のパーティーになったと思ったんだけど、現実はそんなに甘くなかった。
 ラルフが、ゾンビに噛まれて、もうすぐゾンビになっちゃうって聞いた時は、私、目の前が真っ暗になったのを覚えてる。
 ラルフが自殺しようとしたのは、何とか止めたんだけど・・・
 でも、ラルフを直せるという聖なる方陣のある修練の谷の手前で、ワイバーンが襲ってきたんだ。
 リグアーさんとガルックが必死になって戦ったんだけど、ワイバーンは強くて、けど、ラルフの様子に気づくと、ワイバーンは慌てて、飛び去って行っちゃったの。
 でも、その時には、ラルフの体は黒くなってて、ラルフの意識は、もうなくて・・・
 ラルフ、死んじゃ、ヤダって・・・私、ずっと、泣きながら、ラルフに声をかけてた。)

 その時、ニーナの体から、まばゆいばかりの白い光が、ラルフめがけて発せられた。

「なっ、こ、これは・・・聖光気!!」
 ニーナの体から発せられる光を見て、リグアーは驚く。
「聖光気!?」
 ガルックが尋ねるが、リグアーは黙ってラルフを指差す。
「ほれ、ラルフを見てみろ。」
 リグアーに言われ、ラルフを見たガルックは驚く。
 何と、黒く変色していたラルフの体が、ニーナの光を浴びて、みるみる生気を取り戻していく。

「これは・・・驚いた。ニーナに、こんな力があったなんて・・・」
 リグアーとガルックは、ただただ驚くばかりだった。
 気がつくと、ラルフからゾンビ菌は駆除されて、もとの健全な状態に戻っていた。
「うっ・・・こ、ここは・・・」
 しばらくして、ラルフの意識が戻る。
 ラルフは、ニーナの全身が光っているのに気づく。

(ラルフが、無事に戻ってくれてよかった・・・本当に・・・
 そういえば、私のこの光を見て、リグアーさんが聖光気って言ってたけど、これって一体どういうものなんだろう?
 暇があったら、今度、キルアの図書館で調べてみよう。
 こうして、ラルフも復活して、私達は、何とか全員無事に、修練の谷にたどり着くことができました。本当によかった・・・
 修練の谷につくと、すぐに、私とラルフは、リグアーさんに休憩も与えずに、魔法チャネルの取得をお願いしたけど、リグアーさんには悪いことしたなあ。
 リグアーさん、本当に、ゴメンなさい。)

「じゃあ、この魔方陣の中央に立つんだ。」
 リグアーに言われて、ニーナは地面に描かれている魔方陣の中央に進む。
「では、行くぞ。」
 リグアーはそう言うと、傍にある謎の機械のスイッチを入れた。
 機械が動き出すと、ニーナの足元の魔方陣が輝きだす。
 機械のもう一つのスイッチを入れると、今度は、何と地面から魔方陣が浮かび上がった。
「これが魔法チャネルだ。
 次のスイッチを入れれば、ニーナの体に入っていく。
 その時、かなりの苦痛を伴うが、覚悟はいいか、ニーナ?」
「ハイ、大丈夫です。」
「では、行くぞ。」

 リグアーが、最終段階のスイッチを入れると、空中に浮かび上がった魔法チャネルが、ニーナの体に入っていく。
 ニーナは、自分の体の中に入っていく魔法チャネルをじっと眺めていたが、やがて魔法チャネルは、スーッとニーナの体の中に入り込んだ。

(すさまじい激痛を伴うとか言われてたけど、私、何の痛みもなく、魔法チャネルを取得してしまいました。
 その後、ガルックに初級魔法を教えてもらったんだけど、それもすぐに覚えちゃったし、この時は、私は、一体何者なんだって思った。
 でも、リグアーさんから、ラルフが魔法を使えないって聞いた時、そんなこと、どうでもよくなってた。)

「実は、ラルフの遺伝子には、魔法チャネルを取得できる因子がないんだよ。
 つまり、ラルフには、魔法が使えない。」
「そんな!?だって、私達には、魔法の才能があるって・・・」
「ワシは、そんなことは一言も言ってないぞ。
 ワシは、お前達に初めて会った時に、魔法が使えるのは、ニーナだけだと既に見抜いておった。」
「じゃあ、ラルフは、何のために、ここまで来たのですか。
 あんな、恐ろしい目にあってまで、ここまでやって来たのに・・・実は魔法が使えませんでしたって・・・そんなのひどすぎる。」

(うっ、わ、私、リグアーさんに、怒鳴ってるね。
 ラルフは魔法は使えなかったけど、リグアーさんはラルフのために、別の修行を用意してくれてたのに・・・
 そうとは知らずに・・・ゴメンなさい、リグアーさん。
 そんな中、ダークソリアが、またモンスターの大群を送ってきたんだ。
 私の初めての戦闘になったんだけど・・・)

「ニーナ、今こそ魔法を使うんだ。」
 それに気づいたガルックが、ニーナに話しかける。
「ウ、ウン、やって見る。」
 ニーナはそう言うと、魔法チャネルを出そうとするが、モンスターの接近に気を取られて、なかなか魔法チャネルが出せない。
「できないよ、ガルック。」
「落ち着くんだ、ニーナ。君ならできる。
 まずは、ゆっくり深呼吸するんだ。それから、もう一度やって見るんだ。」
 ニーナは、ガルックに言われたように、一旦深呼吸をしてから、精神を集中すると、ようやく魔法チャネルが現れた。
「出た。」
 だが、目の前にゴブリンが迫って来ていた。
 ニーナは、慌てて魔法チャネルに、覚え立ての紋章を刻んだ。

「マジック・ボウ!!!!」

 ニーナの手から、魔法の矢が飛び出して来ると、目の前まで来ていたゴブリンを貫いた。
 ゴブリンは、魔法の矢を受けると、そのまま地面に倒れた。
「や、やった、ガルック、私、できたよ。」

(実戦で魔法を使ったのは、これが初めてだった。
 この時は、ガルックが励ましてくれたおかげで、無事に魔法を使うことができました。
 ありがとう、ガルック。
 こうして、モンスターは全滅したけど、すぐにゴーレムが現れると、私達に襲いかかってきた。
 ゴーレムには、剣も魔法も効かなくて、私達は大苦戦だったんだけど・・・)

 その時、後方から、光る剣を持つ男が飛び出して来ると、ゴーレムに向かって剣を振り下ろした。
 その剣による攻撃で、なんとゴーレムの体にヒビが入る。
 飛び出して来た男は、光る剣を構えると、ニーナを守るように、ゴーレムの前に立ちはだかった。
「ラルフ!!!」
 ニーナもガルックも思わず声をあげる。
 その男こそ、修練の間から出て来たラルフだった。
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2006年03月15日

ヴェスター総集編〜ニーナ編(3)

(お父さんと・・・お母さんに・・・もう一度、会いたいよ・・・グスン。
 でも、家族に会いたいのは、ラルフも・・・同じだった。)

「さよなら、ガイガード。さよなら、父さん、母さん、エミリー。」
 ラルフが、そう言うと、ニーナはラルフに泣いて謝る。
「ゴメンね、私のせいで、こんなことになって・・・」
「ウウン、違う。これが運命だったんだよ。俺の、そしてニーナの。
 随分辛い運命になりそうだけど、頑張ろうよ。
 まだ俺達は生きてるんだからさ。」
 そう言ってラルフは笑顔を作って、ニーナに話しかける。

(私は、ラルフを巻き込んでしまったことに、この時、初めて気づいて、ラルフに申し訳ない気持ちでいっぱいになったの。
 でも、ラルフの、この言葉で、少しだけ、救われた感じがしたんだ。
 こうして、私達は地球に行くことになったんだけど、地球は、私達の想像以上にヒドイ場所でした。)

「ニーナ、逃げよう。」
「えっ!?」
「あれは人間じゃない。モンスターの大群だ。」
 そう、ラルフ達に迫っていたのは、半人半獣モンスターオークの群れだった。
 慌てて逃げ出すラルフとニーナ。
 それを見て、さらに追いかけるオーク達。
「ダメだ、奴らの方が早い。このままじゃ追いつかれる。」

 だが、しばらくするとオークの動きが突然止まる。
「どうしたんだろうって・・・ええっ!?」
 その時、森から巨大なティラノザウルスが飛び出してくると、オークの群れ目がけて突進して行く。
 逃げるオーク達を、ティラノザウルスが追いかけて行く。

(本当に、あれを見た時は、生きて帰る自信がなくなりました。
 ティラノザウルスとは、これ以降、出会うことがなかったので、本当によかったです。
 でも、地球で危険なのは、ティラノザウルスだけじゃなかったんだ。
 オークとゾンビの大群に囲まれた時は、もうダメだって思ったんだけど、その時に、私達を助けてくれたのが、ガルックだったんだ。
 まさか、ガルックに会えるなんて思ってなかったから、ガルックの姿を見た時は、思わず涙が出そうになって・・・)

 二人を助けた男は、高台を駆け降りると、二人の方に近づいてくる。
「戦闘機が降下してくるのが見えたが、やっぱり、人間だったか。
 よかった、無事で・・・」
 男はそう言うと、二人に声をかける。
 その声を聞いて、ニーナはハッとなる。
 そして、その男の姿が見えた瞬間、ニーナが驚いた声を上げる。

「えっ・・・ま、まさか・・・・」
 ニーナは驚いた声を上げて、男の方を見る。
 その声を聞いて、男の方もハッとなる。
「まさか、ニーナ・・・ニーナなのか?」
 男は、ニーナの姿を確認すると、驚きの声を上げる。
 一人取り残された感のあるラルフが、ニーナに恐る恐る尋ねる。
「あ、あの・・・ニーナ、こちらの方は・・・」
「ガルック・・・生きていたんだね、ガルック。」
 ニーナはそう言うと、ガルックの元に駆け寄る。
 あまりの嬉しさからか、ニーナの目から涙がこぼれる。
「ニーナ。」
 ガルックはニーナの手を握り締めると、再会を喜んだ。

(・・・って、思い切り泣いてましたね。ハハハ・・・
 今考えたら、この時が、私とラルフとガルックの3人パーティができた瞬間だったんだよ。
 もっとも、この時は、そんなこと、全く考えていなかったけどね。
 この後、私達は、ガルックの案内で、安全なリグアーさんの村に行くことに・・・
 そういえば、あの村だけ、どうして、あんなに食料とか水とかたくさんあったんだろう?
 今考えると、不思議だよね。
 当然、そんな豊かな村だから、モンスターに狙われることもよくあったようで・・・
 でも、私達が村に来た時に、襲ってきたモンスターの大群は、いつもとは違っていたみたい。)

「ああ、モンスターの大群が、もうじきここにやって来る。
 しかも今までとは規模が違う。」
 ガルックはモンスターの軍勢の規模が、今までとまるで違うことが気になっていた。
「リグアーさん、この軍勢、今まで村を襲いにきたモンスターと、明らかに規模が違います。」
「ウムッ、もしかしたら、奴が、ダークソリアが、この村の存在に気づいたのかも知れんな。」
「ダークソリアが!?」
 途端にガルックの表情が青ざめる。

(この時、初めて、ダークソリアの名前を聞いたんだけど、誰も説明してくれなかったから、私もラルフも、チンプンカンプンだったんだよ。
 この時のモンスターの攻撃は、リグアーさんとガルックの2人だけでは防ぎきれずに、モンスターが村の中まで、入って来ちゃったんだ。
 隠れていた私とラルフの所にも、モンスターがやって来て・・・)

 ニーナに気づいたもう一匹のオークがニーナに迫る。
 だが、それを見たラルフは立ち上がると、ニーナに迫るオーク目がけて体当たりする。
 ラルフの必死の体当たりに、オークは吹っ飛ぶ。
「ラルフ、大丈夫?」
「だ、大丈夫だ。それよりニーナ、部屋の中にいるんだ。」
 ラルフはフラッと立ち上がると、ニーナに隠れるように言う。
 だが、もう一匹のオークが背後から迫っているのに、ラルフは気づいていなかった。
「ラルフ、危ない!!!」
 ニーナがそれに気づき、声をかけるが、少し遅かった。
 オークは持っていたこん棒を振り上げると、ラルフの頭目がけて振り下ろした。
 頭から血を出し、崩れるようにラルフは倒れた。
「きゃああああ、ラルフ!!!!!」
 それを見たニーナの絶叫が、リグアーの家中に響き渡る。
 さっき、ラルフにタックルを食らったオークは起き上がると、ラルフの方にやって来る。
 血まみれで意識のないラルフを、ニーナはとっさにかばうように、オーク達の前に立ちはだかった。

(この時は、私、必死だった。
 このままだと、ラルフが死んじゃう。
 私が立ちはだかったところで、この時は、どうしようもなかったんだけどね。
 案の定、この後、私はオークに殴られて、気を失ってしまうの。
 でも、この時、私を助けてくれたのは、さっきまで倒れていたはずのラルフだったんだ。)

 オークは、とどめとばかりにニーナに棍棒を振り下ろす。
「ニーナ!!!」
 ガルックの絶叫が響き渡る。

 ドカッ!!

 その時、オークの棍棒を手で止めた者がいた。
 それは、さっきまで意識を失っていたはずのラルフだった。
「ラ、ラルフ・・・」
 ガルックが、驚いた表情でラルフに声をかける。
 だが、今までのラルフとはどこか様子が違う。
 ラルフはオークの手をつかむと、そのまま思い切り後方へ投げ飛ばした。
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2006年03月12日

ヴェスター総集編〜ニーナ編(2)

(皆、必死で私のこと守ってくれた。
 でも、ガジャが獣人化すると、頼みのラルフまでも、やられてしまった。
 皆必死で、私のことを助けようとしてくれたのに・・・私は、何もできなかった。
 ガジャにみんながやられてしまった時、私は、みんなを巻き込んでしまったことを、すごく後悔した。
 でも、その時だった・・・。)

(アンナもラルフ君も私のために戦い、傷つき、死にかけているというのに・・・それなのに、私は・・・私は・・・何もできないの・・・・)
 ニーナは、自分の無力さを呪い、ニーナの気持ちが深く沈んだ瞬間、ニーナの体から、突然まばゆい光が発せられた。
「ぐあっ!な、何だ、この光は?」
 あまりのまぶしさに、ガジャは思わず目を閉じてしまう。
 ニーナの体から発した光は、ラルフとアンナめがけて飛んでいった。
 すると、なんと2人の傷がみるみるうちに完全回復していく。

(自分のこの力のことは・・・、私にもわからないんだ。
 以前から、自分に不思議な力があることは、うすうす気づいてたけど、人に知られたくなかったから、できるだけ、考えないようにしてたんだ。
 ラルフがガジャを追い払った後は、教室はもうメチャクチャで、授業にならないってことで、結局、その日は学校は休みになって、私達は、ラルフの家に行って、バーベキューパーティをしたんだよ。
 あれは、楽しかったなあ。
 ラルフの妹のエミリーちゃんとも、この時、出会ったけど、すぐに仲良くなれたしね。
 ラルフとエミリーちゃんを見てると、私も妹が欲しかったなあなんて思って・・・)

「エミリーちゃんもそのうち私の家に遊びに来てね。」
「ウン、行く行く。」
「じゃあ、おやすみ、エミリーちゃん。」
「おやすみなさい、ニーナさん。くれぐれも隣の獣に注意してね。」
「オイ、それ、もしかして俺のことを言ってるのか?」
 エミリーの獣発言に、ラルフは敏感に反応していた。
「ラルフは大丈夫だよ。
 だって、私、ラルフのこと信じてるから。親友だもんね。」
 ニーナはそう言うと、ラルフの方を見て微笑んだ。
「ありがとう、ニーナ。それじゃ、行こうか。」
 ラルフはニーナの言葉に、思わず嬉しくなった。
「じゃあね、エミリーちゃん。またね。」
「バイバイ、ニーナさん。またね。」

「妹がいるって、何かいいなあ。」
 ニーナがラルフに突然話しかける。
「あんなのいても、うるさいだけだよ。勉強の邪魔してくれるしね。」
「でも、そうやっていろんなこと言い合える妹がいるって、私にはうらやましい限りだよ。
 私は一人っ子だったから、そういうのに何かあこがれるなあ。」

(本当に、本当に、私にとって、最高に楽しい時間だった。
 でも、ガイガードでの楽しい生活は、すぐに終わってしまった。
 私のあの力のことを、ガイガードの支配者であるグラードが知ると、私を連行するために、軍隊を送ってきた。
 でも、連行されたのは、私だけじゃなかったんだ。)

「ラルフ=ガートナー、ニーナ=ルクライエ、お前達二人にグラード様から出頭命令が出た。
 これより、我々と共にガイガード基地に来てもらおう。」
 そう言うと、兵士達数名がラルフとニーナの方に近づいてくる。
「そうはいくか!!」
 アンナ達が兵士たちの前に立ちはだかるが、
「やめろ、軍隊相手に戦っても無理だ。」
 ラルフはそう言うと、ガジャに向かって話しかけた。

「狙いはニーナだけじゃなかったのか?どうして、俺にまで出頭命令が?」
「それは、親父に直接聞くんだな。」
 ガジャは薄気味悪い笑いを浮かべながら、ラルフに話した。

(それからは、辛いことばかりだった。
 私達旧人類が、工場で作られていると知った時は、あまりのショックで、私は、何も考えられなくなってしまった。
 でも、そんな時、ラルフが、私に声をかけてくれたの。)

(ニーナ、ニーナ、聞こえるか?)
 小さな声で呼びかけるラルフの声に、泣いていたニーナはようやく気づいた。
(ラ、ラルフ・・・)
(俺達はまだこんなところでは終われない。
 この事実を皆に知らせないといけない。)
(ウ、ウン・・・)
(俺が合図したら、一斉にあっちの廊下に向かって走るんだ。
 きっと父さんが助けてくれるさ。)
(ラルフのお父さんが?)
(ウン、じゃあ、いくよ。3・2・1・・・Go!!)

 ラルフのかけ声に合わせて、2人は一斉に廊下に向かって走り出した。

(ラルフのお父さんが助けに来てくれて、私達は脱出できたけど・・・
 ラルフのお父さん・・・絶対に、無事で生きていて下さい。
 その後、一般居住区は閉鎖されて、行き場をなくした私達を待ち構えていたかのように、お父さんが私達に声をかけてくれた。
 お父さんは、私達を囚人用の宇宙船のある場所に連れて行くと、私達に地球に行くように言った。)

「この戦闘機に乗って、地球に脱出するんだ。」
「地球!?だって、地球はもう人の住めない環境になったんじゃ・・・」
 ラルフが驚いてブライトに尋ねる。
「厳密に言うと、人間が生存できないわけではない。
 だが、戦争による環境悪化と、グラードが何度もモンスターを放つため、生態環境はメチャクチャだ。周りには絶えず死の危険で溢れている。
 そんなことから、いつしか皆は地球のことを地獄と呼ぶようになった。」
「地獄・・・」
「地獄には犯罪者達も送り込まれる。死刑よりも重い判決だ。
 そんなところに私のかわいい娘を送り出すのは、本当に辛い。」
「お父さん・・・」
「でも、もう、これしか方法がないんだよ。許してくれ、ニーナ。」
 そう言うと、ブライトはニーナを抱きしめた。
posted by VesterProject at 15:47| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 総集編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月11日

ヴェスター総集編〜ニーナ編(1)

「ヤバイ、転入日早々、遅刻はさすがにマズイ。」
 ニーナはスペースコロニーキルアから、このガイガードに移住してきたばかりで、今日が初登校だったのだ。
 ニーナは初めて行くオレンジ・ハイスクールがどんなところなのか、不安だったが、今はそんなことを考えている余裕はなかった。
 今度こそ、楽しい学園生活を送っていきたい。
 そんなことを考えて走っていたニーナの目の前に、突然ラルフが現れる。

「うわーーーーーっ!!!!」
「きゃあーーーーっ!!!!」

 二人とも悲鳴を上げるが、全力疾走で走っていたため、かわせずにぶつかってしまう。

(あれ、これは、ラルフと初めて会った時の・・・
 もしかして・・・私・・・今、夢でも見ているのかな?
 そう、これが・・・ラルフとの最初の出会いだったんだよ。
 懐かしいなあ・・・。
 この時、ラルフと初めて会ったはずなのに、なぜか昔から知っている友達のような、そんな感じがしたのを覚えている。
 でも、この時は、時間との勝負だったから、そんな感傷に浸る暇は当然なくて、私はラルフを置いて、一人で学校に・・・
 ラルフ、ゴメン。
 初めて、オレンジ・ハイスクールを見た時は、随分きれいな学校だなって思った。
 最初に、みんなの前で挨拶した時は、すごく緊張したなあ。)

「えーっと、やっと全員がそろったところで、今日はこのクラスに転校生が入って来たので、紹介します。それでは自己紹介をして。」
 担任に言われて、女の子は少し緊張した様子で、大きく息を吸うと、自己紹介を始めた。

「キルアから転校してきたニーナ=ルクライエです。よろしくお願いします。」
 挨拶をするニーナを見て、クラス中の男どもがいっせいに騒ぎだす。
 あまりの男子のフィーバーぶりに、女子達はあきれ、そして担任の怒鳴り声が響き渡る。

(緊張したけど、この学校でなら、うまくやっていけるって、この時、私は思った。
 男の子達の注目を浴びたのが、とても恥ずかしかったけど・・・
 女の子の友達と、すぐに仲良くなれたのが、とても嬉しかった。
 アンナとバーバラは、会ったばかりの私に、気さくに話しかけてくれた。
 2人とも、ガジャのことで、私のことを本気で心配してくれた。
 そして、他にも、私のことを心配してくれた人達がいたんだ。)

 ラルフとフライヤの二人は、ニックとプランタに呼ばれて教室に残っていた。
「何だよ、もう帰ろうと思ってんのによ。」
 不機嫌そうな声でフライヤが話すと、
「何で、放課後に集まる必要があるんだ?」
とラルフも二人に問いただす。
 それを聞いた二人は
「フッフッフッフッフ・・・」
と不気味に笑うと、黒板の方を向いて大きな文字で何かを書き始めた。
 黒板には、大きく下のように書かれていた。

  ニ ー ナ 親 衛 隊 誕 生 ! ! !

(最初見た時はね・・・正直、恥ずかしかった。
 ゴメンね、ニックさん、プランタさん。
 でも、ラルフもアンナもバーバラも、皆で、私のこと守ってくれるって言ってくれた時、とっても嬉しくて・・・
 あの時、泣いてるのを見られたくなくって、思わず教室から飛び出しちゃったんだよ。
 その後、ガジャの手下達が、一人になった私を、捕まえにやって来たんだけど、すぐにラルフ達が助けに来てくれた。
 アンナが、合気道で相手を倒した時は、驚いたけどね。
 でも、それは、昔、お姉さんを襲った悲劇のためなんだよね。)

「それに、アンナ、アイツ、私以外の誰にも話さないんだけどね・・・2年前、お姉さんをガジャに殺されてるのよ。」
「えっ!!?」
「正確に言えば自殺なんだけどね。そこまで追い込んだのは、間違いなくガジャの奴よ。
 その頃からガジャは、今のように女性に手を出すようになっていた。
 ある日、一人で家に帰ろうとしていたアンナのお姉さんは、途中でガジャの手下にさらわれて、ガジャの屋敷に連れていかれた。
 そこで何があったかは、想像したくないけど、とにかくガジャに、ひどい目に合わされた。
 その日の夜遅くに、お姉さんは帰ってきたらしいんだけど、お姉さんが被害を訴えても、誰も助けてくれなかったそうよ。」
「えっ、どうして?」
「ガジャが超人類で、このガイガードの支配者グラードの息子だからよ。」
「ひどい、いくら超人類だからって・・・」
「結局、その後、お姉さんは調子に乗ったガジャに何度も襲われ、耐えかねたお姉さんは、とうとう自殺しちゃったの。」
「・・・・・・」
「そんなアンナが今日、転校してきたニーナを見た時、自分の姉に似ていると私に話したんだ。」
「わ、私が?」
「容姿も少し似ているそうだけど、アンナが言うには、一番似ているのは性格や雰囲気だって。
 とにかく、ニーナは絶対ガジャが狙ってくるから、そうなったら私達で助けてあげようって。
 きっと、ニーナとお姉さんをダブらせてるのよね。」
「アンナが?」
「アイツ、ああいう性格だから、こういうことを表には出さない奴なんだよ。
 でも、お姉さんが死んだときのショックは、アイツの中には今でも大きく残ってる。」

(アンナ、ありがとう。そして、バーバラもありがとう。
 2人には、もう一度会って、お礼が言いたいよ。
 それから、みんな、毎日、私のことを守ってくれるために、家まで一緒に来てくれた。
 ラルフなんか、全く道が違うのに、私の家まで来てくれた。
 でも、部下をやられたガジャは、私達のいる教室まで来て、私達に襲いかかってきた。
 でも、この時も、みんなで私のことを守ってくれた。)

 ガジャは再び、ラルフ達に突進してきた。
 バーバラは、再びハンドガンを連発するが、今度はガジャの爪で全部はじかれてしまう。
「ここは通さないわよ。」
 突進するガジャの前に、アンナが立ちはだかる。
 ガジャの手を掴もうとするアンナだが、
「邪魔だ!!!」
 ガジャは前方にいたアンナを片手で張り倒すと、アンナは黒板まで吹き飛ばされ、体を叩きつけられた。
 バーバラが至近距離からハンドガンを連発するが、まるで効き目がない。
「フン、こんなおもちゃで、俺様が死ぬと思ってるのか。」
 ガジャは、バーバラの拳銃を取り上げ、両手で握りつぶすと、ただの鉄の塊にしてしまった。
「でも、バンバン打ってくれたから、結構痛かったぞ。」
「危ない、バーバラ!!!」
 ガジャの鋭い爪がバーバラめがけて振り下ろされようとしたその時、

 ドカッ!!!

 ガジャの鋭い爪をラルフが受け止めていた。
posted by VesterProject at 19:33| 大阪 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 総集編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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