2006年03月25日

ヴェスター総集編〜もう一つの総集編

 ラルフ、ニーナ、ガルックがスペースコロニー・キルアに戻る少し前、そう、ラルフ達がガイガードか地球にいた頃、太陽系から約1000光年離れたウィクス星系で、一つの戦争が起こっていた。
 惑星ウィクス周辺には、ウィクスの主力宇宙艦隊が集結していた。
 ウィクス人は、地球人と同じヒューマノイドタイプの宇宙人で、皮膚の色が緑で、しっぽが生えていることを除けば、ほとんど地球人と区別がつかない。
 ウィクスの文明は、地球よりも長い文明を築いてきたが、長い歴史を通して、初めて外の文明からの攻撃の脅威に脅えていた。

「艦隊から方位YZ2314、距離1光秒の空域に、重力異常を確認!!!」
 その時、兵士の悲痛な叫び声が、艦橋に響き渡る。
「重力異常・・・何者かが、ワープアウトしてくるな。全艦、重力異常の発生箇所に向かって発進だ。」
「ハッ!」
 ザルミードの号令により、ウィクス全艦隊が重力異常の発生箇所へと向かう。

 その時・・・
「ワームホールが開きました。」
「全艦攻撃準備だ。」
 重力異常の発生した場所に、巨大なワームホールが出現すると、中から巨大な要塞が飛び出して来た。
 その要塞は、直径200キロもある球形の要塞で、その大きさにウィクス艦隊の乗組員は圧倒される。
「あれが・・・噂のヴェスターか・・・」
 ザルミードは、ヴェスターの存在を知っていたが、それでもその迫力に圧倒された。

 超人類の超巨大要塞ヴェスターは、ウィクス星近くにワープアウトすると、大艦隊を出撃させてきた。
 ウィクス艦隊は、懸命に戦ったが、地球艦隊の主砲の射程距離は、ウィクス艦隊の主砲の倍以上もあり、ウィクス艦隊は苦戦していた。

 次々と被弾し、やられていくウィクス艦隊。
 ザルミードは、後方の空母艦隊に指令を出す。
「全空母から小型戦闘機を発進させて、敵艦隊を攪乱するのだ。
 戦闘機が攪乱している間に、我々は何とか射程距離圏内に近づき、敵艦隊を撃滅する。」
 ザルミードの命令で、空母から大量の小型戦闘機が出撃すると、地球艦隊に向かって行く。
 地球艦隊は、敵戦闘機を撃墜しようとするが、なかなか命中しない。
「敵艦隊との距離10000キロ。射程距離圏まであと2000キロ。」
「ようし、予想通り敵艦隊は、艦載機にとらわれている。今のうちに進撃するんだ。」
 ウィクス艦隊は、ヴェスターへの進撃を早めた。

 ウィクス艦隊は、小型戦闘機を出撃させ、地球艦隊を撹乱しながら、何とか射程距離まで近づくという作戦を取った。
 これは、最初は成功した。だが・・・

 ヴェスターの皇帝アーリアは、兵士の報告を聞くと、ニヤッと笑う。
「ようし、各戦艦に乗り込んでいるヴェクト・アーマー部隊を出撃させて、まずはハエのようにウザイ小型戦闘機を全滅させろ。
 ヴェクト・アーマー部隊は、そのまま敵艦隊の群れを通り抜けて、惑星ウィクスに降下しろ。」

 この命令で、各戦艦からヴェクト・アーマー部隊が出撃してくると、状況は一変する。
 小型戦闘機は、ヴェルガント率いるヴェクト・アーマー部隊に一隻残らず撃墜され、ヴェクト・アーマー部隊はそのまま惑星ウィクスに向かい始める。
 そのことに気づいた艦隊司令ザルミードは、ヴェクト・アーマーを追おうとするが、その時、両サイドから地球艦隊の攻撃を受けると、次々とウィクス艦隊は壊滅していく。
 ザルミードは、一か八か、ヴェスターへの突撃を試みようとするが、その時、ヴェスター前方に地球艦隊がいないことに気づく。

「ちょっと待て、なぜヴェスターの前に地球艦隊がいなくなってるんだ?」
 ザルミードは、いつの間にかヴェスターの前を護衛していた地球艦隊がいなくなっていることに気づき、ヴェスターをスクリーンに映させる。
 ヴェスターの中心にあるヴェスター・ノヴァの発射口がいつの間にか開いていることに、ようやく気がつく。
「ぜ、全艦、この空域から離脱せよ。急げ!!!」
 ザルミードは慌てて命令を出した。

「クックック・・・ようやく気がついたか。でも、もう手遅れだ。」
 皇帝アーリアは、慌てて方向変換しようとしている戦艦を笑いながら見ていた。
「よし、ヴェスター・ノヴァ発射!!!」
 皇帝アーリアが命じると、ヴェスターの中心から強烈なエネルギー砲が発射された。
 巨大な光のエネルギーが、宇宙空間を突き進むと、あっという間に、その巨大な光の中にウィクス艦隊を飲み込んだ。

「巨大エネルギー高速接近!!!間にあわ・・・」
「ぎゃあああああああ・・・!!!」

 ヴェスター・ノヴァと呼ばれるこのエネルギー砲は、前方にいたウィクス艦隊を捕らえると、全艦隊を粉々に吹き飛ばした。
 ウィクスの艦隊を吹き飛ばしたヴェスター・ノヴァは、勢いをそのままに、後方にあったウィクスの衛星ブラトーに直撃すると、衛星ブラトーは大爆発し、宇宙の藻屑と消えた。

 こうして、ウィクス艦隊は全滅し、さらに、惑星ウィクスには、ヴェルガント率いるヴェクト・アーマー部隊が降下すると、首都テラガスタに向かい始める。
 ウィクス軍は、戦闘機部隊を派遣するが・・・

「南西約20kmに、ヴェクトアーマー部隊発見!!!」
「第1部隊、第2部隊、ミサイル発射用意!!!」
 第1部隊と第2部隊がミサイルを発射するが、ヴェルガントが必殺技マキシム・ボムを放つと、無数の闘気の光弾がミサイルに命中すると、ミサイルはヴェクト・アーマー部隊に届く前に、全て爆破された。

 ヴェクトアーマーの一人が、ミサイルが全て爆破されたのを確認すると、自分の魔法チャネルに紋章を書き込み、魔法を唱えた。
「ジェコバ!!!」
 魔法ジェコバを唱えると、第1、第2戦闘機部隊の目の前に、それぞれ巨大な竜巻を発生させた。
「きょ、巨大竜巻出現、か、回避できません・・うわぁぁぁぁ・・・」
 竜巻はウィクスの戦闘機を巻き込むと、次々と爆破していった。

 ヴェクト・アーマーの強さは圧倒的だった。
 ヴェルガントは、ウィクス軍に降伏を勧めるが、ウィクス軍はなかなか承諾しない。
 だが・・・

「フッ、この技を使うのは何年ぶりだろうな。アスタリア。」
 ヴェルガントはそうつぶやくと、ヴェクトソードに闘気を集中させた。
「ハアアアアア!!!」
 凄まじい闘気が集まると、ヴェクトソードは巨大なドラゴンに姿を変えた。
 そのドラゴンの大きさと凄まじさに、味方のヴェクトアーマー部隊達ですらも息を呑んだ。

「ドラゴン・ブラスター!!!」
 ヴェルガントがヴェクト・ソードを一気に振り下ろすと、巨大なドラゴンはものすごい速度で突き進み、首都テラガスタの後方にある山に直撃した。

 ズドォーーン!!!!

 最初に凄まじい大爆発が起こると、次に首都テラガスタに地震が襲いかかる。
「こ、後方の山が、敵ヴェクトアーマーによって攻撃されました。この地震はその衝撃によるものです。」
「クッ、何という破壊力だ。」
「先程の攻撃による地震の震度7を記録しました。テラガスタのあちこちで被害が出ています。」
「し、司令!!!」
 その時、兵士の一人が驚くような声をあげた。
「どうした。」
 司令は兵士の指差す方を見て、絶句した。
「山が・・・山がなくなっている・・・」

 このヴェルガントの一撃と、ヴェスター・ノヴァの破壊力を見せつけられたウィクス軍は、ついに降伏する。
 だが、超人類の目的では、この星に豊富にあるガイアナイトの採掘が目的であって、ウィクスの支配が目的ではなかった。
 それから、ウィクス人達は、全員奴隷として、ガイアナイトの採掘を毎日行わされた。
 ガイアナイトさえ採掘すれば、ウィクスを解放するというヴェルガントの言葉を信じ、ウィクス人達は、毎日ガイアナイトの採掘に勤しんだ。
 そして、全てのガイアナイトが採掘されると、ヴェルガントは約束通り、全員を解放した。
 あとは、採掘を終えた作業船団を収容して、ヴェスターが、早くこの空域から去ってくれるのを、ウィクス人達は祈るばかりだったが・・・

「フハハハハ、ウィクス人達よ。そのような荒れ果てた星で生きて行くのは辛かろう。
 余がお前達に永遠の安息を与えてやろう。」
 ヴェスターの中央にある巨大な発射口が開く。
「ヴェスター・ノヴァ連続発射!!!」

ズドォォォーン!!! ズドォォォーン!!! ズドォォォーン!!!

 アーリアの号令と共に、口径数キロもあるヴェスター・ノヴァ発射口から、惑星ウィクス目がけて、ヴェスター・ノヴァが連続発射される。
 ヴェスター・ノヴァは全弾命中すると、惑星ウィクスのあちこちで大爆発が起こり、炎に包まれていく。
 そして、やがて、ウィクス全体が炎に包まれると、次の瞬間、惑星ウィクスは大爆発を起こした。
 惑星ウィクスは、宇宙から消滅した。
 ヴェルガントは、その様子を、スクリーンを通して、無表情で見つめていた。

 惑星ウィクスを破壊した後、次の目的地であるクレザート星系に向かうべく、ヴェスターはワームホールに入ると、しばらく宇宙空間から姿を消した。
 だが、その惑星ウィクスが破壊されるのを見ていた者がいた。
 それは、ウィクス軍が銀河系中心方面に送っていた大艦隊だった。
「間に・・・合わなかったか・・・なんて、むごいことを・・・」
 艦隊指令のジェルギーガは、ウィクスの爆発を目の辺りにして、あまりの悔しさに血の涙を流していた。
「奴ら、確か、地球の艦隊だったな。」
「ハッ!!」
「許さん、絶対に許さんぞ。地球人は皆殺しにしてやる!!!
 そうすれば、ヴェスターは必ず地球に戻るはずだ。
 そして、そこでヴェスターも叩き潰してやる。
 全艦ワープ用意、目標は地球だ!!!」
 ジェルギーガの号令が飛ぶと、全ウィクス艦隊から、ワームホールエネルギーが発射される。
 やがて巨大なワームホールが開くと、ウィクスの残存艦隊は、その中へ飛び込み、彼らもしばし宇宙空間から姿を消した。

 その後、クレザート星系にたどり着いたヴェスターであったが、ウィクスよりも、はるかに技術の進んだクレザート星の猛攻に、地球艦隊は、苦戦を強いられていた。
 その頃、地球に時空干渉装置で修練の谷にアクセスし、ラルフにヴェクト・アーマーを教えていたゾルドは、時空干渉を解くと、ヴェスターの中央研究所に戻ってきた。
 戻ってきたゾルドの元に、兵士がやって来る。
「ヴェルガント様、どこに行ってらっしゃったんですか?皇帝アーリア様が、お怒りですぞ。」
「わかった、至急、中央帝都に向かう。」
 ヴェルガントは、そう言うと、戦闘機に乗り込み、中央帝都へと向かった。
 ヴェルガントがなぜ、時空干渉をしてまで、ラルフにヴェクト・ソードを教えようとしたのか?
 歴史は、再び激しく動き始めようとしていた・・・


ヴェスター総集編〜もう一つの総集編(完)


あとがき
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2006年03月20日

ヴェスター総集編〜ガルック編(3)

(俺、何で、こんな嫌なこと言ったんだろう。
 もしかしたら、これで、ニーナに嫌われたかも・・・
 うっ、考えない・・・考えない・・・
 この後、ゾルドとかいう人の修行を受けて、ラルフも、ようやく力を得ることができた。それも、とてつもなく強力な力を・・・
 しかし、ヴェクト・ソードは、超人類でも、ヴェルガントしか使えない、超難易度の高い武器のはずだが、それをラルフが使えるようになるとはな・・・。
 一体何者なんだ、ラルフは?
 まあ、いっか・・・。
 ラルフが出てきた後で、俺達は、リグアーさんから、キルアからエネルギー補給船が、やって来ることを聞いて、修練の谷を出た後、エネルギー補給基地に向かうことになった。
 途中いろんなことあったけど、あれは、結構楽しかったな。)

「ねえ、このサーベルタイガーって、食べられないかな?」
 ラルフと同じ事を、ニーナが言うと、ガルックは思わず吹き出す。
 一方、デスやんは、倒したばかりのガーゴイルを、ほお張っていた。
「まあ、アイツはドラゴン・ゾンビだからな・・・」
 うまそうに食べているデスやんを見て、3人の口から溜息が漏れる。
「ねえ、思い切って、食べてみようよ。果物だけだと、そのうちまいっちゃうよ。」
 ニーナはそう言うと、サーベルタイガーを指さした。
 ニーナの言う通り、3人はここ数日、果物しか口にしていなかった。
 このままでは、ダークパレスにたどり着く前に、餓死しかねない。
「よ、よし、思い切って食べてみるか。」
 ガルックは、足元に倒れているサーベルタイガーの骸を、苦々しい表情で見ながらそう言うと、ラルフも仕方がないといった表情で頷く。

 そして、しばらくして、サーベルタイガーの丸焼きが完成した。
「絵に描いたような丸焼きだな。」
 完成品を見て、思わずガルックがつぶやく。
「毒も検出されなかったし、俺が最初に毒見してみるよ。」
 ラルフはそう言うと、焼けたサーベルタイガーの肉の一部を切り取り、一気に口の中に入れた。

「ラルフ、大丈夫?」
 ニーナが、心配そうにラルフの顔をのぞき込む。と、その時・・・
「うまーーーーーーい!!!!」
 そのラルフの反応を見て、ガルックとニーナも、サーベルタイガーの肉の一部を、ナイフで切り取ると、一口味見してみた。
「おいしい!!」
「こ、これは・・・めちゃくちゃ、うまいじゃないか。」
 もうこうなると、3人の食べる勢いは止まらない。
 久しぶりに、肉をたらふく食べた3人は、満足な表情を浮かべていた。

(いやあ、あれは実に美味かった。できれば、もう一度食べたいものだ。
 しかし、楽しかったことといえばこれくらいで、あとは辛いことばかりだったな。
 そんな中、ある日、突然、ニーナがモンスターを殺さないって言い出したんだ。)

「私、昨日、デスやんの話を聞くまで、考えもしなかった。
 モンスター達だって、私達と同じ生物だってことを・・・
 冷静に考えたら、当たり前のことなのにね。
 でも、私は、そんなこと当たり前のことに、全く気がつかなかった。
 新しく覚えた魔法を使ってみたくて、モンスターに試したこともあった。
 皆と助け合うために、修練の谷で魔法を身につけたはずなのにね。
 それに、デスやんを見てたら、モンスター達も本当は人間に生まれるはずだったのかも知れないって思えてきて・・・
 そんなことを考えたら、私は、自分のしてきた事が恐ろしくなったの。
 だから、私、決めたんだ。もうこれ以上、モンスターを殺さないって・・・
 でも、今日みたいに、モンスターが襲ってきた時は、私は一体どうしたらいいのか、わからなくなって・・・」
 ニーナはそう言うと、下を俯いてしまう。

(これを聞いて、俺は思わず「ニーナは考えが甘い」って、ニーナに言ったっけ。
 でも、あれから冷静に考えてみたら、そもそもニーナを戦闘に参加させていた俺達が、間違っていたんだ。
 俺なんか、ニーナが、昔から動物を可愛がる、とても優しい子だってことを、ずっと知ってたはずのに・・・
 俺もラルフも、ニーナの強力な魔法に、頼るようになっていたのかも知れない。
 ニーナが、今までどんな気持ちで戦っていたかなんて、これっぽっちも考えずに・・・
 幼馴染失格だな。ニーナ、ゴメン。
 でも、ニーナは、別の解決策を持ち出してきた。)

 そんな中、またしても、ラルフ達に、数匹のモンスターが襲ってきた。
 ラルフがヴェクトソードを抜き、ガルックも剣を抜いたその時、

「パラボルト!!!」

 後方からニーナが、魔法パラボルトを唱えると、上空から、白い稲妻がモンスター達に直撃すると、モンスター達は、しびれて動けなくなった。
「ニーナ、今の魔法は?」
 今まで見たことのない魔法を見て、ラルフがニーナに尋ねる。
「パラボルト。パラライズ(麻痺)の効果がついた電撃攻撃だよ。
 あのモンスター達はこれで当分動けないよ。今のうちに先に進もう。」
「あ、ああ・・・」

(これ以降、ニーナは、敵にパラボルトしか使わなくなった。
 この後、ニーナは、ダークパレスで、ダークソリアに捕らえられている魂を解放する。
 聖なる方陣の力とは言え、俺やラルフだったら、決して全ての魂が、解放されることはなかっただろう。
 あれは、ニーナだからこそできたんだって、今ならそう思える。
 ニーナのおかげで、闇のモンスターはいなくなったが、ダークパレス上空には、まだワイバーンの大群がいて、一斉に襲いかかってきた。
 しかし、そのワイバーンの前に立ちはだかったのは、何とニーナ1人だけだった。)

「オイ、何やってんだ、ラルフ。ニーナ一人だけに、戦わせるつもりか?」
「ホンマや、ニーナはん、危ないで。」
 ガルックとデスやんが慌てて加勢しようとするが、ラルフが止める。
「大丈夫、ニーナなら、必ず勝てるよ。」
 ラルフは二人にそう言うと、ニーナのいる方向を黙って見つめた。
 ニーナに、ワイバーンの群れが襲いかかる。

「バイクレー!!」
 ニーナは自分の素早さを上げると、ワイバーンの大群の攻撃を次々とかわすと、覚えたてのあの魔法を唱えた。
「パラボルト!!!」

 ニーナがパラボルトを唱えると、上空から白い稲妻がワイバーンの群れ目がけて落ちると、なんと全匹に命中する。
 ワイバーン達は地面に落ちると、体がしびれて動けなくなっていた。

(俺もデスやんも、ニーナ1人じゃ危ないと思ったが、ラルフは違った。
 ラルフは、ニーナが勝つことを信じていた。
 そして、ニーナもラルフの期待に応え、ワイバーンを1人で倒した。
 何だか、ニーナが、どんどん自分から離れていくような気がして、実はこの時、不安で仕方がなかった。
 俺にとって幸いだったのは、この時は、そんなことを考えている暇が、ほとんどなかったということだ。
 今は時間があるが・・・とりあえず、考えないでおこう。
 俺達は、ダークソリアを倒すべく、ダークパレスへと入っていった。
 最初にダークソリアを見た時から、嫌な予感はしていたが、俺達は手も足も出ずに完敗した。
 今考えると、生きているのが不思議なくらいだ。
 でも、それはデスやんが、体を張って、俺達を守ってくれたからだった。
 デスやんは、ボロボロになりながらも、俺達を背中に乗せて、エネルギー補給基地に連れてってくれた。
 デスやんが囮になって、暴れてくれているうちに、俺達は何とか宇宙船に忍び込むことができた。
だが・・・)

 デスやんは、3人の方を向くと、ニッコリと笑顔を浮かべた。
(ありがとう、デスやん・・・)
 ニーナの目から、またこらえきれずに涙がこぼれる。

 その時・・・
 黒いエネルギー砲が、デスやんの体を貫くと、デスやんは倒れる。
 黒いエネルギー砲は補給船上空をそのまま突き抜けていく。
 そして、そのエネルギー砲の発射元には、ダークソリアがいた。

(そう、ダークソリアが、現れた。
 しかも、デスやんがやられたのを見て、思わず声をあげてしまった俺達は、超人類に見つかり、そこからは三つ巴の戦いになるかと思われた。
 だが、ダークソリアには、超人類も歯がたたず、もうダメかと思ったその時・・・)

 ダークソリアは、扉を閉めようとしたアルデックを軽く弾き飛ばすと、補給船に乗り込もうとする。
 だが、その時、ダークソリアの体を、背後から引っ張る手があった。
「あ、あんさんは、ワイと一緒に地球に残ってもらうで。」
 ダークソリアの後方にいたのは、デスやんだった。
 デスやんは、瀕死の状態にありながらも、ダークソリアの体を引っ張ると、宇宙船から引き剥がした。
「今のうちに、早く発進して。お願い。」
 ニーナがアルデックに今のうちに発進するよう話す。
 超人類達は黙ってニーナに従うと、扉を堅く閉め、緊急発進した。

(これから先のことは・・・思い出したくない。
 でも、デスやん、お前のことは、俺は絶対に忘れないからな・・・
 お前のおかげで、俺はこうしてキルアに戻ってくることができたんだから・・・
 親父・・・おふくろ・・・俺は多くの人達に支えて、キルアに帰って来ることができた。
 俺のことなら、心配いらない。
 今や、心強い味方が、2人もいるし・・・)

 その時、宇宙港の方から、爆発音が聞こえてくる。

(この魔力は・・・ダークソリアのものだ。
 どうやって、キルアまで、やってきたんだ?
 いや、それよりも、奴を止めないと・・・
 親父、おふくろ、俺はキルアを守るために、戦ってくる。
 大丈夫・・・今度こそ、俺達は、ダークソリアに勝ってみせる。
 あの時と違って、俺にはディルクレーがあるし、それに、強い味方もいるしね・・・
 おっと、どうやら、その心強い2人の味方も来てくれたようだ。
 俺のことを、気にかけてくれているみたいだけど、もう大丈夫。
 じゃあ・・・行って来る。)
 ガルックは、もう一度だけ、両親の墓をじっと見つめた後、傍に置いていたディルクレーを持って、墓地に来ていたラルフとニーナに声をかけた。

ヴェスター総集編〜ガルック編(完)


あとがき
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2006年03月19日

ヴェスター総集編〜ガルック編(2)

(リグアーさんって、一体何者なんだろう? 強いし、一目で魔法の素質があるかどうか見抜くし・・・
 まあ、リグアーさんが言うんだから仕方がないと思い、俺もリグアーさんの意見に一応同意した。
 でも、この時は、2人にそんな素質があるなんて、正直半信半疑だった。
 そんな時、モンスターが、しかも、今までにない規模の大群で、村に襲いかかってきた。
 俺とリグアーさんは、必死で応戦したが、モンスターは、空から村の中に入り込んできた。
 そして、ニーナがいたリグアーさんの家にも、モンスターが入って行くのを見た俺は、慌ててリグアーさんの家に向かった。
 だが、そこで見たものは・・・)

「ニーナ!!」
「ガルック!!」
 その声のする方を見て、ガルックは絶句する。
 ニーナはラルフをかばうように、オークの前に立ちはだかっていたのだ。
「ニーナ、逃げろ。」
 ガルックはニーナに逃げるよう言うが、ニーナが逃げる気配はない。
「ラルフが、ラルフが、このままじゃ死んじゃうよ。」
 ニーナが涙を浮かべて、ガルックに訴える。
 とにかくガルックは2階に向かおうとするが、1階にいるオークとリザードマンが、ガルックに襲いかかってくる。
「クソッ、ウザイぞ。テメエら。」
 普段のガルックの実力なら、オークなど敵ではなかったが、2階のニーナが気がかりでなかなか倒せない。

 とその時だった。

 バーン!!!

 2階にいたオークが、目の前に立ちはだかっていたニーナを、手で思い切りはじき飛ばした。
 ニーナは壁に強く体を打ち付けると、そのまま意識を失って倒れた。
「ニーナ!!!」
 ガルックはニーナの名前を思い切り叫ぶが、ニーナの返事はない。
 オークは、とどめとばかりにニーナに棍棒を振り下ろす。
「ニーナ!!!」
 ガルックの絶叫が響き渡る。

 ドカッ!!

 その時、オークの棍棒を手で止めた者がいた。
 それは、さっきまで意識を失っていたはずのラルフだった。
「ラ、ラルフ・・・」
 ガルックがラルフに声をかける。
 だが、今までのラルフとはどこか様子が違う。
 ラルフはオークの手をつかむと、そのまま思い切り後方へ投げ飛ばした。
 それを見て、ガルックは驚く。
「あのオークに素手で挑むとは・・・なんて奴だ。」
 もう一匹のオークが、ニーナに近づいてくるのを見たラルフは、そのオークに向かっていくと、素手でオークの顔面を殴り倒した。
 ラルフに殴られたオークは、たったの一撃で昏倒していた。
 さっき投げ飛ばされたオークと、1階から上がってきたリザードマンが、今度は同時にラルフに襲いかかる。
 ラルフはリザードマンの手を掴むと、すさまじい握力でリザードマンの手を握りつぶすと、その後、壁にめがけて、思い切り叩きつけた。
 叩きつけられたリザードマンは、そのまま動かなくなった。
 それを見たオークは怯えて逃げようとするが、ラルフは鋭い手刀を放つと、オークの体を一撃で貫いて倒した。
 ラルフは昏倒していたオークの頭を叩き割ると、今度は一階にいたオーク達の方を睨みつける。

 ラルフの恐るべき力を見たオークとリザードマンは、慌ててリグアーの家から逃げ出す。

(俺は、無意識で戦っていたラルフの凄まじい力を見て、正直言うと、あの時、鳥肌が立っていた。
 あのラルフの力こそ、リグアーさんの言う力だったんだ。
 俺はようやく2人を修練の谷に連れて行くことに納得できた。
 こうして、修練の谷に向かうことになった俺達だが、死の森でゾンビの大群に囲まれる。
 しかも、空からドラゴン・ゾンビが降りてきた時は、正直言ってヤバイと思った。)

「これは・・・ドラゴン・ゾンビだ。今まで戦った、どのモンスターよりも手ごわいぞ。」
 リグアーがそう言うと、ガルックも剣を構えた。
「ラルフ、下がっていろ。相手が強すぎる。」
「偉そうにと言いたい所だが、お前の言う通りだな。どうやら、俺は役に立ちそうにないな。」
 ラルフはそう言うと、せめてニーナのテントは死守しようと、ニーナの眠るテントの前で剣を構えた。
「よし、行くぞ、ガルック。」
「ええっ」
 リグアーとガルックの二人は、ドラゴン・ゾンビ目がけて剣を構える。

とその時・・・

「あんさんら、ちょっと待ちいや。
 せめてワイと戦う前に自己紹介ぐらいするんが、礼儀っちゅうもんちゃうんか?」

(この時は、本当に驚いた。
 しゃべるモンスターに出会ったのは、これが初めてだったから・・・
 これが、デスやんとの、最初の出会いだった。
 デスやんはダークソリアの手下で、ダークソリアの命令で、俺達を殺しに来た・・・はずなんだが、ニーナの姿を見た途端、態度を180度変えやがった。)

「決めた、ワイもみんなの仲間に入れてくれ。」
「えーーっ!!」
 デスやんの発言に驚く一同。

「お前はダークソリアの手下じゃなかったのかよ。」
 ラルフがデスやんに尋ねると、
「ダークソリアはんには悪いけど、ワイは、今からニーナはんの命令に従うことに決めたんや。」

(この時は、調子のいい奴だと思った。
 でも、デスやんのドラゴンブレスは強力で、味方にいる分には頼もしい存在だった。
 デスやんも味方につけて、これで死の森は、余裕で突破できると思ったけど、ここでラルフが、ゾンビに噛まれてしまうんだ。
 この時の、ニーナの動揺する姿を見て、俺は少し不安になった。)

 歩きながら、ガルックがニーナに短剣を渡した。
「ガルック、何、これ?」
「接近戦などで使うと便利な短剣だ。
 俺は、あまり使わないから、ニーナにこれを預けておく。」
「ガルック!?」
「もし、アイツが、ラルフが・・・ゾンビになってしまった時は・・・ニーナ、君がとどめを刺してあげるんだ。」
「ヤダ。私は・・・私は・・・ラルフが頑張るって言ったのを・・・信じるから・・・」
 ニーナの目から、また涙がこぼれる。
「わかってるよ、ニーナ。だから万一の場合の話だよ。
 その場合は、君がラルフを止めてあげるんだ。
 きっとアイツも・・・ラルフも、そう望んでいるはずだ。」
「・・・ウン・・・わかった。
 でも、これはあくまでも万一の場合の話だからね。」
 ニーナは、ガルックから短剣を受け取ると、腰に備え付けた。

(結局、修練の谷にたどり着く前に、ラルフは動けなくなってしまった。
 もう、ゾンビになるのも時間の問題だった。
 でも、その時、ニーナの不思議な力が、ラルフを元の健康体に治した。
 リグアーさんが聖光気と呼んでいた、あの力は一体・・・?
 まあ、こうして無事に修練の谷にたどり着いた俺達は、早速ラルフとニーナに、魔法チャネルをセットすることになったが・・・
 ラルフが、魔法取得できないことを、知っていたリグアーさんを、責めるニーナを見て、俺はますます不安になった。
 もしかしたら、ニーナは、ラルフのことを・・・
 そう思った俺は、気がついたら、自分でも嫌なことを口走ってたな。)

「俺も、いくつかの魔法を覚えた。
 前はダメだったけど、今日来たら、使えるようになっていた魔法もあった。
 どうやら、本人の魔力や魔法の経験に応じて、そのうち複雑な魔法も、使いこなせるようになるみたいだ。」
「そうなの、ガルック?」
「ああ、あの魔法の本は、リグアーさんが、俺達にくれるそうだ。
 ニーナだったら、すぐに中級魔法も、上級魔法だって覚えられるだろう。」
「そんな・・・私、まだ覚えたばかりだよ。」
「いや、俺は、ニーナなら、大魔導士になれると確信してるよ。
 もちろん、俺だって、さらに魔法を覚えて強くなる。
 それに、キルアに帰ったら、覇王流の奥義だって使えるようになる。
 ところで、ラルフ、お前はどうするつもりだ?」
 ガルックはそう言うと、ラルフの方を見つめた。

「お、俺は・・・」
「まあ、お前にあるのは、人並みはずれたバカ力だけだからな。」
 ガルックの発言に、さすがにラルフは頭に来たが、自分にはそれ以外に、何もないこともわかっていた。
「ちょっと、ガルック、そんなこと言うなんてヒドイよ。」
「ニーナ、残念だけど、ラルフはバトルの才能がないんだ。
 バカ力だけで、生き残れる世界でないことは、ニーナもわかるだろう?」
「それは、そうかも知れないけど・・・でも・・・」
「リグアーさんは村を守るために、村からは離れられない。
 俺達が、コロニーに帰りたければ、俺達だけで、行動を起こすしかない。
 その時に、銅の剣を力一杯ぶん回すだけしかできない奴がいると、俺達まで危険に巻き込まれかねないんだ。」
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2006年03月18日

ヴェスター総集編〜ガルック編(1)

(親父・・・おふくろ・・・ゴメンよ。
 俺のせいで・・・こんなことに・・・
 2人の墓を見つけるまでは、ニーナから話を聞いても、正直、全く実感が沸かなかった。
 家に戻ったら、きっと、クソうるさいガンコ親父と、おふくろの小言が待ってるんだろうなあって・・・。
 でも、家に帰って、ただいまって言っても、家の中から誰の声もしなかった。
 そして、今、目の前に2人の墓があるのを見て、ようやく俺にも事実を受け入れることができたよ。)

「あの日、俺の家の近くに住んでるディルガさんの奥さんが、子供を出産したって聞いて、俺は、そのお祝いに病院に行ったんだ。
 まず赤ちゃんを、先に見て行こうと思った俺は、赤ちゃんのいる部屋に向かうと、そこで、看護婦が、奥にある隠し部屋のようなところに、赤ちゃんを連れて行くのを見たんだ。
 最初、わけわからなくて、ボーッと見てたんだけど、しばらくして俺の中に一つの考えが浮かんだ。
 これはもしかして、誘拐ではないのか?
 そう思った俺は、慌てて、看護婦の後を追いかけてったんだ。
 そして、俺は、そこで、とんでもないものをを見てしまった。」

「きっと、私達がガイガードで見たものと、同じものを見たんだね。」
「知ってるのか、ニーナ・・・」
「うん、だから、ここにいるんだけどね。」
 ニーナがそう言うと、ガルックも納得した様子で頷く。
「それで、それから、どうなったの?」
「ああ、気がついたら、カプセルの中にいた乳児を見た俺は、その看護婦に向かって、大声で怒鳴っていた。
 でも、その看護婦は何も答えないで、通信機で連絡すると、あっと言う間に、俺は警備ロボットに囲まれて捕まった。
 病院の秘密を暴いた俺は、超人類達の裁判で、反逆罪となり、死刑よりも重い地獄送りということで、地球に送られたんだ。
 でも、まさか、俺の両親が殺されていたなんてな・・・」

(これは、地球で初めて、ニーナから両親の話を聞かされた時だ。
 そう、俺は、病院で旧人類の秘密を見てしまい、反逆罪として、地球に送られた。
 地球に着いてからは、とにかく生きるのに必死だった。
 行けども行けども人間の姿はなく、代わりにモンスターにばかり追いかけられてた。
 モンスターから、何とか必死に逃げ続けた俺だったが、逃げた場所がドラゴンの巣だった時には、正直死を覚悟した。
 でも、そこで出会ったリグアーさんに俺は救出されて、村に連れてってもらったんだ。
 リグアーさんは、ドラゴンの卵でオムレツを作るために、巣に忍び込んでいたらしい。
 たいした人だよ。あの人は・・・
 最初見た時は、ただの爺さんかと思ってたけど、魔法は使えるは、剣術でも、俺が歯がたたないくらい強いわで、初めてリグアーさんの力を見た時には驚いた。
 リグアーさんは、俺に魔法が使える素質があると言うと、俺を修練の谷に連れてってくれた。
 よく考えたら、後からラルフとニーナと一緒に修練の谷に言ってるから、往復で4回も死の森に入ってるんだよな。
 修練の谷で魔法を覚え、さらに覇王流の剣術を、リグアーさんに鍛えなおしてもらって、強くなった俺は、地球に送られて来た人達を、モンスターに襲われる前に村に保護するため、よく村を出て戦いに行ったっけ。
 そんな、ある日のことだった。
 一機の戦闘機が、近くに着陸するのを見かけた俺は、いつものように、救出に向かった。
 戦闘機には、人間が2人乗っていたらしく、俺が見つけた時は、ゾンビとオークの大群に襲われていた。)

「ファイアーボール!!!」

 その声と共に、巨大な火の玉が飛んでくると、オークの群れに直撃した。
 炎に焼かれて、生き残ったオーク達は一斉に逃げ出す。

「ファイアーボール!!!」
 男がそう言うと、今度は3つの巨大なファイアーボールが現れた。
 男がその3つの火の玉を振り下ろすと、その火の玉はゾンビの群れに直撃した。

 二人を助けた男は、高台を駆け降りると、二人の方に近づいてくる。
「戦闘機が降下してくるのが見えたが、やっぱり、人間だったか。
 よかった、無事で・・・」
 男はそう言うと、二人に声をかける。
 その声を聞いて、ニーナはハッとなる。
 そして、その男の姿が見えた瞬間、ニーナが驚いた声を上げる。

「えっ・・・ま、まさか・・・・」
 ニーナは驚いた声を上げて、男の方を見る。
 その声を聞いて、男の方もハッとなる。
「まさか、ニーナ・・・ニーナなのか?」
 男は、ニーナの姿を確認すると、驚きの声を上げる。
 一人取り残された感のあるラルフが、ニーナに恐る恐る尋ねる。
「あ、あの・・・ニーナ、こちらの方は・・・」
「ガルック・・・生きていたんだね、ガルック。」
 ニーナはそう言うと、ガルックの元に駆け寄る。
 あまりの嬉しさからか、ニーナの目から涙がこぼれる。
「ニーナ。」
 ガルックはニーナの手を握り締めると、再会を喜んだ。

(まさか、こんなところで、ニーナと出会えるなんて、夢にも思わなかった。
 地球にいる間、両親に会いたいと思ってたが、ニーナにも会いたいと思ってた。
 だって、俺は、ニーナのことが、ずっと好きだったから・・・
 ニーナと出会った時、ニーナへの思いが爆発して、思わず、ニーナを抱きしめそうになった。
 だが、その時、俺はもう1人いることに気づいた。)

「ガルック、紹介するね。
 ガイガードで私のことをずっと守ってくれた、ラルフ=ガートナー君です。
 ラルフは私の大切な親友です。」
「あー、ガルック君とか言ったね。よろしく。」
「・・・あ、ああ・・・」

(最初見た時は、変な奴だと思った。
 でも、すぐにわかったよ。
 コイツも、ニーナのことが好きなんだなって・・・
 まあ、でも、正直言って、この時は、眼中になかったんだ。
 俺とニーナは、幼馴染だったし、何より俺には、ニーナを守る力があったからな。
 とりあえず、俺は2人を、リグアーさんの村へと連れてった。
 普通だったら、そこで住む場所と当面の食料を与えて、あと村の決まりなんかを話して、解散ってのがパターンなんだ。
 だから、リグアーさんが、2人を家に招待すると行った時は、少し驚いた。
 食事では、ラルフがサ●ヤ人のごとく、たらふく飯を食っていたのが印象的だったよ。
 その食事の後で、リグアーさんが、2人を修練の谷に連れて行くと言った時は、もっと驚いた。)

「ま、待ってください。
 修練の谷は、元々超人類が魔法を身につけるための場所でしょ?
 魔法を使うための魔法チャネルを身につけれるかどうかは、遺伝子で決まってるって言ってたじゃないですか。
 この2人を連れて行っても、魔法を使えるようになるかどうか、わからないですよ。」
「ガルック、お主、ワシを誰だと思ってる。
 魔法が身につけれるかどうか、その者の姿をよく見れば、ワシにはわかる。
 お前に魔法の素質がなければ、お前を修練の谷に連れて行くこともなかった。」
「そ、そうだったんですか・・・」
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2006年03月17日

ヴェスター総集編〜ニーナ編(5)

(あの時、ラルフの背中が大きく感じて、私は、なぜかラルフの背中を見て、ドキドキしたんだけど、あれは、一体何だったんだろう?
 ラルフのヴェクト・ソードのおかげで、ゴーレムを倒すことができて、とりあえず、モンスターとの戦いは終わった。
 そして、ラルフもそろったところで、私達は、リグアーさんに教えてもらったエネルギー補給基地に、向かうことになったんだ。
 途中でダークソリアを倒そうって言った時は、デスやんはひどく怯えてたけど、でも、結局、デスやんも、私達に力を貸してくれた。
 そこからは、もう実戦で魔法を使っては、モンスターを倒していく毎日だった。
 特に、リグアーさんと別れてからは、一人一人の負担が大きくなったからね。
 私は、覚えた魔法を、次々とモンスター相手に試していった。)

 デスやんはドラゴン・ブレスを5匹のガーゴイルに向けて放つが、ガーゴイルはすばやく炎をかわすと、デスやんの周りを包囲する。
 その時、上空に雷雲が広がる。
「デスやん、危ないから気をつけてね。」
 ニーナはそう言うと、ガーゴイルめがけて魔法を唱えた。
「ギガボルト!!!」
 ニーナのギガボルトは、ガーゴイル2匹に命中するが、残りの3匹にはかわされてしまう。
「やっぱり、リグアーさんのようには、うまくいかないなあ。」

(この頃の私は、新しい魔法を使うのが楽しみで仕方がなかった。
 でも、デスやんと話している内に、自分がとんでもないことをしてきたんじゃないかってことに、気づいたんだ。)

 ニーナの様子が、おかしいことにデスやんも気づく。
「ニーナはん、どないしたんや。」
「私、今までモンスターのこと、何も考えずに戦ってきた。
 モンスターだって、この世界で必死に生きてるのに、私は、魔法で・・・」
 ニーナはそう言うと、涙ぐんで言葉を詰まらす。
「ニーナはん、それはしゃあないよ。
 元はといえば、襲いかかって来るモンスターの方が、悪いんやから。」
「違う、私は、魔法が使えることが嬉しくて、モンスターに魔法をかけて、殺してきたんだよ。私は・・・なんて・・・ひどいことを・・・」

(モンスターが襲いかかって来る以上、自分達の身を守るのは仕方がないとしても、それでも私は、もう絶対にモンスターを殺さないって、この時決めたんだ。
 ラルフとガルックにはわかってもらえなかったけど、私はモンスターを殺さないって考えを、変えるつもりはなかった。
 で、そのために覚えた魔法が、パラボルトだったんだよ。
 その後の、ダークパレスでの出来事は、忘れられないなあ。
 デスやんに頼まれて、私は、聖なる方陣のペンダントに、必死に祈ったんだ。
 ダークソリアに囚われてる魂が、成仏できますようにって・・・)

 しばらくすると、ニーナのペンダントは光りだすと、ダークパレスに向けて、まばゆいばかりの光を放ち始めた。

 その光のまぶしさに、ラルフもガルックもデスやんも思わず目をつぶる。
 ニーナだけが、その光の先をじっと見つめていた。
 光に包まれた闇のモンスター達は、次々と消滅していくと、闇から解放された魂が、次々と空に昇っていく。

(ありがとう・・・)
「えっ!?」
 ニーナは、今、確かにありがとうという声を聞き取った。
 その瞬間、ニーナは、自分の心にあった、もやもやしていた霧が晴れたような気分になった。

「私の方こそ・・・ありがとう・・・」
 ニーナはそう言うと、いつの間にか、頬を伝っていた涙をぬぐいながら、昇っていく魂を見送っていた。

(本当にアリガトね・・・
 私、あれで、自分の気持ちがはっきりしたから・・・
 こうして、私は気持ちをふっ切って、ラルフ達と一緒に、ダークソリアに戦いを挑んだけど・・・
 結果は一方的にやられて、しかも、デスやんが・・・)

「俺達を・・・守ってくれたのか?」
 ラルフはそう言うと、恐る恐るデスやんの元に近寄る。
「デスやん、しっかりして・・・死なないで・・・」
 ニーナは、デスやんの元に駆け寄ると、必死にデスやんに声をかける。
 だが、デスやんからの返事がない。
「デスやん、死ぬんじゃない・・・」
 自分達の命を、体を張って守ってくれたデスやんに、3人は目に涙をためながら、必死で呼びかける。

 その時、
「・・・いじょうぶや・・・」
 かすかな声でデスやんが答える。
「デスやん、ありがとう。」
 ニーナは、デスやんにしがみつくと、そのまま泣きついた。
「ワイは・・・幸せもんや。
 ワイのために、泣いてくれるなんて、みんな、優しい人達やな。
 でも、ワイはドラゴン・ゾンビやから、本当は既に死んでるんやけどな。」
 デスやんはそう言うと、3人の方を見て笑う。

(笑えないよ・・・デスやん・・・グスン。
 でも、デスやんは傷ついた体で、私達を背中に乗せて、キルアのエネルギー補給基地まで連れてってくれた。
 やっと、これでキルアに帰れるって、私は内心昂ぶってた。
 でも、それがデスやんとのお別れだってことに、全く気がついていなかったの。
 結局、私は、自分のことしか考えてなかったんだ。
 ああーーっ、私のバカバカバカ・・・)

「ねえ、ラルフ、デスやんも、一緒に連れて行けないかな?」
 ニーナがラルフに尋ねるが、ラルフは首を横に振る。
「ニーナ、俺達は、デスやんがいい奴だって知ってるからいいけど、他の人達は、そうは思わないだろう。
 キルアに行っても、デスやんには辛いだけだと思う。」
「私が、皆を説得するよ。私が・・・」
「いいんや、ニーナはん。ワイはドラゴン・ゾンビや。
 モンスターであるワイは、地球に残ったほうがええ。」
 デスやんが、ニーナにそう言うと、ニーナの目から涙がこぼれてくる。

「ニーナはん、アンタは、本当に優しい人やな。
 いつまでも、ワイの大好きな優しいニーナはんでいてください。」
「ウン・・・ありがとう、デスやん。」

(私、ちっとも優しくなんかないよ。
 自分のことばかり考えて、デスやんのことを、ちっとも考えてなかったんだから・・・
 でも、これからは、デスやんの言う優しい人になれるように、努力するよ。
 それだけは・・・約束するからね・・・デスやん・・・グスン・・・
 ダメだ・・・ここから先は、思い出すのが辛くてたまらないよ。
 デスやんのおかげで、補給船に乗り込んだ私達だけど、そこにダークソリアが現れて・・・
 キルアから来た超人類達ですら、ダークソリアには手も足も出なくて・・・
 でも、デスやんが・・・命をかけて・・・私達を助けてくれた。
 私達が、今、キルアにいるのも、デスやんのおかげだよ。
 ありがとう、デスやん。
 デスやん、私のことを好きだって言ってくれたけど、私もデスやんのこと、大好きだったよ。
 私、恋とかそういうの、まだよくわからないから、もしかしたら、デスやんのこと傷つけたかもしれない。
 でも、これだけは本当だから・・・
 デスやんは、私のかけがえのない、大切な友達だったから・・・)

 ズドオォォォォーーーーーーーン!!!!!

 その時、凄まじい爆音が、ニーナを現実の世界へと引き戻す。
(えっ、な、何、この音は?
 この魔力は・・・もしかして・・・ダークソリア?)
 気がつくと、ニーナはガルックの部屋で寝ていた。
 慌てて、ラルフのいる中庭に飛び出す。
(デスやん、見ててね。ダークソリアは、きっと、私達の手で止めて見せるから・・・)
 ニーナは、そう心の中で誓いながら、爆発音のした宇宙港に向かって走り出した。


ヴェスター総集編〜ニーナ編(完)


あとがき
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2006年03月16日

ヴェスター総集編〜ニーナ編(4)

(私、この時、うっすらとしか意識がなかったので、よくわからなかったんだけど、この時のラルフの強さは、鬼神のようだったと、後からガルックに聞きました。
 本当にありがとう、ラルフ。
 しばらくして、ラルフの怪我が治ると、私達は、魔法を身につけるために、修練の谷に向かうことになったんだ。
 途中で、死の森って呼ばれる、恐ろしい森を通ることになったんだけど、そこで、デスやんと初めて出会ったんだよ。)

 こうして、ラルフ達とデスやん率いるゾンビ軍団との死闘が始まるかと思いきや、テントの中からニーナが起きてきた。
「みんな、どうしたの?」
 眠そうな目をこすりながら出てきたニーナだったが、周りをゾンビに囲まれているのに気づくと、ニーナは慌ててラルフ達の元に近づくと、近くにあったフライパンを握り締めた。
「めちゃくちゃ、可愛い。」
 そのニーナの姿を見て、デスやんがニーナを見てつぶやく。
「へっ!?」
 デスやんの言葉に、ただただ驚く3人。
「わし、あんさんに一目ぼれしました。付き合ってくれまへんか?」
 ニーナに一目ぼれしたデスやんはいきなりニーナに告白する。
 それを聞いて、思わずずっこける他の3人。

(よく考えたら、この時、既にデスやんから告白されてましたね。(汗)
 でも、私は告白よりも、モンスターがしゃべることの方に驚いて、それどころじゃなかったんだけどね。
 でも、デスやんが、私達の仲間になってくれた時は、どんな相手でも、話し合えば分かり合えるんだなあって・・・
 んー、それはちょっと違うのかな。
 デスやんが味方になってくれて、これで無敵のパーティーになったと思ったんだけど、現実はそんなに甘くなかった。
 ラルフが、ゾンビに噛まれて、もうすぐゾンビになっちゃうって聞いた時は、私、目の前が真っ暗になったのを覚えてる。
 ラルフが自殺しようとしたのは、何とか止めたんだけど・・・
 でも、ラルフを直せるという聖なる方陣のある修練の谷の手前で、ワイバーンが襲ってきたんだ。
 リグアーさんとガルックが必死になって戦ったんだけど、ワイバーンは強くて、けど、ラルフの様子に気づくと、ワイバーンは慌てて、飛び去って行っちゃったの。
 でも、その時には、ラルフの体は黒くなってて、ラルフの意識は、もうなくて・・・
 ラルフ、死んじゃ、ヤダって・・・私、ずっと、泣きながら、ラルフに声をかけてた。)

 その時、ニーナの体から、まばゆいばかりの白い光が、ラルフめがけて発せられた。

「なっ、こ、これは・・・聖光気!!」
 ニーナの体から発せられる光を見て、リグアーは驚く。
「聖光気!?」
 ガルックが尋ねるが、リグアーは黙ってラルフを指差す。
「ほれ、ラルフを見てみろ。」
 リグアーに言われ、ラルフを見たガルックは驚く。
 何と、黒く変色していたラルフの体が、ニーナの光を浴びて、みるみる生気を取り戻していく。

「これは・・・驚いた。ニーナに、こんな力があったなんて・・・」
 リグアーとガルックは、ただただ驚くばかりだった。
 気がつくと、ラルフからゾンビ菌は駆除されて、もとの健全な状態に戻っていた。
「うっ・・・こ、ここは・・・」
 しばらくして、ラルフの意識が戻る。
 ラルフは、ニーナの全身が光っているのに気づく。

(ラルフが、無事に戻ってくれてよかった・・・本当に・・・
 そういえば、私のこの光を見て、リグアーさんが聖光気って言ってたけど、これって一体どういうものなんだろう?
 暇があったら、今度、キルアの図書館で調べてみよう。
 こうして、ラルフも復活して、私達は、何とか全員無事に、修練の谷にたどり着くことができました。本当によかった・・・
 修練の谷につくと、すぐに、私とラルフは、リグアーさんに休憩も与えずに、魔法チャネルの取得をお願いしたけど、リグアーさんには悪いことしたなあ。
 リグアーさん、本当に、ゴメンなさい。)

「じゃあ、この魔方陣の中央に立つんだ。」
 リグアーに言われて、ニーナは地面に描かれている魔方陣の中央に進む。
「では、行くぞ。」
 リグアーはそう言うと、傍にある謎の機械のスイッチを入れた。
 機械が動き出すと、ニーナの足元の魔方陣が輝きだす。
 機械のもう一つのスイッチを入れると、今度は、何と地面から魔方陣が浮かび上がった。
「これが魔法チャネルだ。
 次のスイッチを入れれば、ニーナの体に入っていく。
 その時、かなりの苦痛を伴うが、覚悟はいいか、ニーナ?」
「ハイ、大丈夫です。」
「では、行くぞ。」

 リグアーが、最終段階のスイッチを入れると、空中に浮かび上がった魔法チャネルが、ニーナの体に入っていく。
 ニーナは、自分の体の中に入っていく魔法チャネルをじっと眺めていたが、やがて魔法チャネルは、スーッとニーナの体の中に入り込んだ。

(すさまじい激痛を伴うとか言われてたけど、私、何の痛みもなく、魔法チャネルを取得してしまいました。
 その後、ガルックに初級魔法を教えてもらったんだけど、それもすぐに覚えちゃったし、この時は、私は、一体何者なんだって思った。
 でも、リグアーさんから、ラルフが魔法を使えないって聞いた時、そんなこと、どうでもよくなってた。)

「実は、ラルフの遺伝子には、魔法チャネルを取得できる因子がないんだよ。
 つまり、ラルフには、魔法が使えない。」
「そんな!?だって、私達には、魔法の才能があるって・・・」
「ワシは、そんなことは一言も言ってないぞ。
 ワシは、お前達に初めて会った時に、魔法が使えるのは、ニーナだけだと既に見抜いておった。」
「じゃあ、ラルフは、何のために、ここまで来たのですか。
 あんな、恐ろしい目にあってまで、ここまでやって来たのに・・・実は魔法が使えませんでしたって・・・そんなのひどすぎる。」

(うっ、わ、私、リグアーさんに、怒鳴ってるね。
 ラルフは魔法は使えなかったけど、リグアーさんはラルフのために、別の修行を用意してくれてたのに・・・
 そうとは知らずに・・・ゴメンなさい、リグアーさん。
 そんな中、ダークソリアが、またモンスターの大群を送ってきたんだ。
 私の初めての戦闘になったんだけど・・・)

「ニーナ、今こそ魔法を使うんだ。」
 それに気づいたガルックが、ニーナに話しかける。
「ウ、ウン、やって見る。」
 ニーナはそう言うと、魔法チャネルを出そうとするが、モンスターの接近に気を取られて、なかなか魔法チャネルが出せない。
「できないよ、ガルック。」
「落ち着くんだ、ニーナ。君ならできる。
 まずは、ゆっくり深呼吸するんだ。それから、もう一度やって見るんだ。」
 ニーナは、ガルックに言われたように、一旦深呼吸をしてから、精神を集中すると、ようやく魔法チャネルが現れた。
「出た。」
 だが、目の前にゴブリンが迫って来ていた。
 ニーナは、慌てて魔法チャネルに、覚え立ての紋章を刻んだ。

「マジック・ボウ!!!!」

 ニーナの手から、魔法の矢が飛び出して来ると、目の前まで来ていたゴブリンを貫いた。
 ゴブリンは、魔法の矢を受けると、そのまま地面に倒れた。
「や、やった、ガルック、私、できたよ。」

(実戦で魔法を使ったのは、これが初めてだった。
 この時は、ガルックが励ましてくれたおかげで、無事に魔法を使うことができました。
 ありがとう、ガルック。
 こうして、モンスターは全滅したけど、すぐにゴーレムが現れると、私達に襲いかかってきた。
 ゴーレムには、剣も魔法も効かなくて、私達は大苦戦だったんだけど・・・)

 その時、後方から、光る剣を持つ男が飛び出して来ると、ゴーレムに向かって剣を振り下ろした。
 その剣による攻撃で、なんとゴーレムの体にヒビが入る。
 飛び出して来た男は、光る剣を構えると、ニーナを守るように、ゴーレムの前に立ちはだかった。
「ラルフ!!!」
 ニーナもガルックも思わず声をあげる。
 その男こそ、修練の間から出て来たラルフだった。
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2006年03月15日

ヴェスター総集編〜ニーナ編(3)

(お父さんと・・・お母さんに・・・もう一度、会いたいよ・・・グスン。
 でも、家族に会いたいのは、ラルフも・・・同じだった。)

「さよなら、ガイガード。さよなら、父さん、母さん、エミリー。」
 ラルフが、そう言うと、ニーナはラルフに泣いて謝る。
「ゴメンね、私のせいで、こんなことになって・・・」
「ウウン、違う。これが運命だったんだよ。俺の、そしてニーナの。
 随分辛い運命になりそうだけど、頑張ろうよ。
 まだ俺達は生きてるんだからさ。」
 そう言ってラルフは笑顔を作って、ニーナに話しかける。

(私は、ラルフを巻き込んでしまったことに、この時、初めて気づいて、ラルフに申し訳ない気持ちでいっぱいになったの。
 でも、ラルフの、この言葉で、少しだけ、救われた感じがしたんだ。
 こうして、私達は地球に行くことになったんだけど、地球は、私達の想像以上にヒドイ場所でした。)

「ニーナ、逃げよう。」
「えっ!?」
「あれは人間じゃない。モンスターの大群だ。」
 そう、ラルフ達に迫っていたのは、半人半獣モンスターオークの群れだった。
 慌てて逃げ出すラルフとニーナ。
 それを見て、さらに追いかけるオーク達。
「ダメだ、奴らの方が早い。このままじゃ追いつかれる。」

 だが、しばらくするとオークの動きが突然止まる。
「どうしたんだろうって・・・ええっ!?」
 その時、森から巨大なティラノザウルスが飛び出してくると、オークの群れ目がけて突進して行く。
 逃げるオーク達を、ティラノザウルスが追いかけて行く。

(本当に、あれを見た時は、生きて帰る自信がなくなりました。
 ティラノザウルスとは、これ以降、出会うことがなかったので、本当によかったです。
 でも、地球で危険なのは、ティラノザウルスだけじゃなかったんだ。
 オークとゾンビの大群に囲まれた時は、もうダメだって思ったんだけど、その時に、私達を助けてくれたのが、ガルックだったんだ。
 まさか、ガルックに会えるなんて思ってなかったから、ガルックの姿を見た時は、思わず涙が出そうになって・・・)

 二人を助けた男は、高台を駆け降りると、二人の方に近づいてくる。
「戦闘機が降下してくるのが見えたが、やっぱり、人間だったか。
 よかった、無事で・・・」
 男はそう言うと、二人に声をかける。
 その声を聞いて、ニーナはハッとなる。
 そして、その男の姿が見えた瞬間、ニーナが驚いた声を上げる。

「えっ・・・ま、まさか・・・・」
 ニーナは驚いた声を上げて、男の方を見る。
 その声を聞いて、男の方もハッとなる。
「まさか、ニーナ・・・ニーナなのか?」
 男は、ニーナの姿を確認すると、驚きの声を上げる。
 一人取り残された感のあるラルフが、ニーナに恐る恐る尋ねる。
「あ、あの・・・ニーナ、こちらの方は・・・」
「ガルック・・・生きていたんだね、ガルック。」
 ニーナはそう言うと、ガルックの元に駆け寄る。
 あまりの嬉しさからか、ニーナの目から涙がこぼれる。
「ニーナ。」
 ガルックはニーナの手を握り締めると、再会を喜んだ。

(・・・って、思い切り泣いてましたね。ハハハ・・・
 今考えたら、この時が、私とラルフとガルックの3人パーティができた瞬間だったんだよ。
 もっとも、この時は、そんなこと、全く考えていなかったけどね。
 この後、私達は、ガルックの案内で、安全なリグアーさんの村に行くことに・・・
 そういえば、あの村だけ、どうして、あんなに食料とか水とかたくさんあったんだろう?
 今考えると、不思議だよね。
 当然、そんな豊かな村だから、モンスターに狙われることもよくあったようで・・・
 でも、私達が村に来た時に、襲ってきたモンスターの大群は、いつもとは違っていたみたい。)

「ああ、モンスターの大群が、もうじきここにやって来る。
 しかも今までとは規模が違う。」
 ガルックはモンスターの軍勢の規模が、今までとまるで違うことが気になっていた。
「リグアーさん、この軍勢、今まで村を襲いにきたモンスターと、明らかに規模が違います。」
「ウムッ、もしかしたら、奴が、ダークソリアが、この村の存在に気づいたのかも知れんな。」
「ダークソリアが!?」
 途端にガルックの表情が青ざめる。

(この時、初めて、ダークソリアの名前を聞いたんだけど、誰も説明してくれなかったから、私もラルフも、チンプンカンプンだったんだよ。
 この時のモンスターの攻撃は、リグアーさんとガルックの2人だけでは防ぎきれずに、モンスターが村の中まで、入って来ちゃったんだ。
 隠れていた私とラルフの所にも、モンスターがやって来て・・・)

 ニーナに気づいたもう一匹のオークがニーナに迫る。
 だが、それを見たラルフは立ち上がると、ニーナに迫るオーク目がけて体当たりする。
 ラルフの必死の体当たりに、オークは吹っ飛ぶ。
「ラルフ、大丈夫?」
「だ、大丈夫だ。それよりニーナ、部屋の中にいるんだ。」
 ラルフはフラッと立ち上がると、ニーナに隠れるように言う。
 だが、もう一匹のオークが背後から迫っているのに、ラルフは気づいていなかった。
「ラルフ、危ない!!!」
 ニーナがそれに気づき、声をかけるが、少し遅かった。
 オークは持っていたこん棒を振り上げると、ラルフの頭目がけて振り下ろした。
 頭から血を出し、崩れるようにラルフは倒れた。
「きゃああああ、ラルフ!!!!!」
 それを見たニーナの絶叫が、リグアーの家中に響き渡る。
 さっき、ラルフにタックルを食らったオークは起き上がると、ラルフの方にやって来る。
 血まみれで意識のないラルフを、ニーナはとっさにかばうように、オーク達の前に立ちはだかった。

(この時は、私、必死だった。
 このままだと、ラルフが死んじゃう。
 私が立ちはだかったところで、この時は、どうしようもなかったんだけどね。
 案の定、この後、私はオークに殴られて、気を失ってしまうの。
 でも、この時、私を助けてくれたのは、さっきまで倒れていたはずのラルフだったんだ。)

 オークは、とどめとばかりにニーナに棍棒を振り下ろす。
「ニーナ!!!」
 ガルックの絶叫が響き渡る。

 ドカッ!!

 その時、オークの棍棒を手で止めた者がいた。
 それは、さっきまで意識を失っていたはずのラルフだった。
「ラ、ラルフ・・・」
 ガルックが、驚いた表情でラルフに声をかける。
 だが、今までのラルフとはどこか様子が違う。
 ラルフはオークの手をつかむと、そのまま思い切り後方へ投げ飛ばした。
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2006年03月12日

ヴェスター総集編〜ニーナ編(2)

(皆、必死で私のこと守ってくれた。
 でも、ガジャが獣人化すると、頼みのラルフまでも、やられてしまった。
 皆必死で、私のことを助けようとしてくれたのに・・・私は、何もできなかった。
 ガジャにみんながやられてしまった時、私は、みんなを巻き込んでしまったことを、すごく後悔した。
 でも、その時だった・・・。)

(アンナもラルフ君も私のために戦い、傷つき、死にかけているというのに・・・それなのに、私は・・・私は・・・何もできないの・・・・)
 ニーナは、自分の無力さを呪い、ニーナの気持ちが深く沈んだ瞬間、ニーナの体から、突然まばゆい光が発せられた。
「ぐあっ!な、何だ、この光は?」
 あまりのまぶしさに、ガジャは思わず目を閉じてしまう。
 ニーナの体から発した光は、ラルフとアンナめがけて飛んでいった。
 すると、なんと2人の傷がみるみるうちに完全回復していく。

(自分のこの力のことは・・・、私にもわからないんだ。
 以前から、自分に不思議な力があることは、うすうす気づいてたけど、人に知られたくなかったから、できるだけ、考えないようにしてたんだ。
 ラルフがガジャを追い払った後は、教室はもうメチャクチャで、授業にならないってことで、結局、その日は学校は休みになって、私達は、ラルフの家に行って、バーベキューパーティをしたんだよ。
 あれは、楽しかったなあ。
 ラルフの妹のエミリーちゃんとも、この時、出会ったけど、すぐに仲良くなれたしね。
 ラルフとエミリーちゃんを見てると、私も妹が欲しかったなあなんて思って・・・)

「エミリーちゃんもそのうち私の家に遊びに来てね。」
「ウン、行く行く。」
「じゃあ、おやすみ、エミリーちゃん。」
「おやすみなさい、ニーナさん。くれぐれも隣の獣に注意してね。」
「オイ、それ、もしかして俺のことを言ってるのか?」
 エミリーの獣発言に、ラルフは敏感に反応していた。
「ラルフは大丈夫だよ。
 だって、私、ラルフのこと信じてるから。親友だもんね。」
 ニーナはそう言うと、ラルフの方を見て微笑んだ。
「ありがとう、ニーナ。それじゃ、行こうか。」
 ラルフはニーナの言葉に、思わず嬉しくなった。
「じゃあね、エミリーちゃん。またね。」
「バイバイ、ニーナさん。またね。」

「妹がいるって、何かいいなあ。」
 ニーナがラルフに突然話しかける。
「あんなのいても、うるさいだけだよ。勉強の邪魔してくれるしね。」
「でも、そうやっていろんなこと言い合える妹がいるって、私にはうらやましい限りだよ。
 私は一人っ子だったから、そういうのに何かあこがれるなあ。」

(本当に、本当に、私にとって、最高に楽しい時間だった。
 でも、ガイガードでの楽しい生活は、すぐに終わってしまった。
 私のあの力のことを、ガイガードの支配者であるグラードが知ると、私を連行するために、軍隊を送ってきた。
 でも、連行されたのは、私だけじゃなかったんだ。)

「ラルフ=ガートナー、ニーナ=ルクライエ、お前達二人にグラード様から出頭命令が出た。
 これより、我々と共にガイガード基地に来てもらおう。」
 そう言うと、兵士達数名がラルフとニーナの方に近づいてくる。
「そうはいくか!!」
 アンナ達が兵士たちの前に立ちはだかるが、
「やめろ、軍隊相手に戦っても無理だ。」
 ラルフはそう言うと、ガジャに向かって話しかけた。

「狙いはニーナだけじゃなかったのか?どうして、俺にまで出頭命令が?」
「それは、親父に直接聞くんだな。」
 ガジャは薄気味悪い笑いを浮かべながら、ラルフに話した。

(それからは、辛いことばかりだった。
 私達旧人類が、工場で作られていると知った時は、あまりのショックで、私は、何も考えられなくなってしまった。
 でも、そんな時、ラルフが、私に声をかけてくれたの。)

(ニーナ、ニーナ、聞こえるか?)
 小さな声で呼びかけるラルフの声に、泣いていたニーナはようやく気づいた。
(ラ、ラルフ・・・)
(俺達はまだこんなところでは終われない。
 この事実を皆に知らせないといけない。)
(ウ、ウン・・・)
(俺が合図したら、一斉にあっちの廊下に向かって走るんだ。
 きっと父さんが助けてくれるさ。)
(ラルフのお父さんが?)
(ウン、じゃあ、いくよ。3・2・1・・・Go!!)

 ラルフのかけ声に合わせて、2人は一斉に廊下に向かって走り出した。

(ラルフのお父さんが助けに来てくれて、私達は脱出できたけど・・・
 ラルフのお父さん・・・絶対に、無事で生きていて下さい。
 その後、一般居住区は閉鎖されて、行き場をなくした私達を待ち構えていたかのように、お父さんが私達に声をかけてくれた。
 お父さんは、私達を囚人用の宇宙船のある場所に連れて行くと、私達に地球に行くように言った。)

「この戦闘機に乗って、地球に脱出するんだ。」
「地球!?だって、地球はもう人の住めない環境になったんじゃ・・・」
 ラルフが驚いてブライトに尋ねる。
「厳密に言うと、人間が生存できないわけではない。
 だが、戦争による環境悪化と、グラードが何度もモンスターを放つため、生態環境はメチャクチャだ。周りには絶えず死の危険で溢れている。
 そんなことから、いつしか皆は地球のことを地獄と呼ぶようになった。」
「地獄・・・」
「地獄には犯罪者達も送り込まれる。死刑よりも重い判決だ。
 そんなところに私のかわいい娘を送り出すのは、本当に辛い。」
「お父さん・・・」
「でも、もう、これしか方法がないんだよ。許してくれ、ニーナ。」
 そう言うと、ブライトはニーナを抱きしめた。
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2006年03月11日

ヴェスター総集編〜ニーナ編(1)

「ヤバイ、転入日早々、遅刻はさすがにマズイ。」
 ニーナはスペースコロニーキルアから、このガイガードに移住してきたばかりで、今日が初登校だったのだ。
 ニーナは初めて行くオレンジ・ハイスクールがどんなところなのか、不安だったが、今はそんなことを考えている余裕はなかった。
 今度こそ、楽しい学園生活を送っていきたい。
 そんなことを考えて走っていたニーナの目の前に、突然ラルフが現れる。

「うわーーーーーっ!!!!」
「きゃあーーーーっ!!!!」

 二人とも悲鳴を上げるが、全力疾走で走っていたため、かわせずにぶつかってしまう。

(あれ、これは、ラルフと初めて会った時の・・・
 もしかして・・・私・・・今、夢でも見ているのかな?
 そう、これが・・・ラルフとの最初の出会いだったんだよ。
 懐かしいなあ・・・。
 この時、ラルフと初めて会ったはずなのに、なぜか昔から知っている友達のような、そんな感じがしたのを覚えている。
 でも、この時は、時間との勝負だったから、そんな感傷に浸る暇は当然なくて、私はラルフを置いて、一人で学校に・・・
 ラルフ、ゴメン。
 初めて、オレンジ・ハイスクールを見た時は、随分きれいな学校だなって思った。
 最初に、みんなの前で挨拶した時は、すごく緊張したなあ。)

「えーっと、やっと全員がそろったところで、今日はこのクラスに転校生が入って来たので、紹介します。それでは自己紹介をして。」
 担任に言われて、女の子は少し緊張した様子で、大きく息を吸うと、自己紹介を始めた。

「キルアから転校してきたニーナ=ルクライエです。よろしくお願いします。」
 挨拶をするニーナを見て、クラス中の男どもがいっせいに騒ぎだす。
 あまりの男子のフィーバーぶりに、女子達はあきれ、そして担任の怒鳴り声が響き渡る。

(緊張したけど、この学校でなら、うまくやっていけるって、この時、私は思った。
 男の子達の注目を浴びたのが、とても恥ずかしかったけど・・・
 女の子の友達と、すぐに仲良くなれたのが、とても嬉しかった。
 アンナとバーバラは、会ったばかりの私に、気さくに話しかけてくれた。
 2人とも、ガジャのことで、私のことを本気で心配してくれた。
 そして、他にも、私のことを心配してくれた人達がいたんだ。)

 ラルフとフライヤの二人は、ニックとプランタに呼ばれて教室に残っていた。
「何だよ、もう帰ろうと思ってんのによ。」
 不機嫌そうな声でフライヤが話すと、
「何で、放課後に集まる必要があるんだ?」
とラルフも二人に問いただす。
 それを聞いた二人は
「フッフッフッフッフ・・・」
と不気味に笑うと、黒板の方を向いて大きな文字で何かを書き始めた。
 黒板には、大きく下のように書かれていた。

  ニ ー ナ 親 衛 隊 誕 生 ! ! !

(最初見た時はね・・・正直、恥ずかしかった。
 ゴメンね、ニックさん、プランタさん。
 でも、ラルフもアンナもバーバラも、皆で、私のこと守ってくれるって言ってくれた時、とっても嬉しくて・・・
 あの時、泣いてるのを見られたくなくって、思わず教室から飛び出しちゃったんだよ。
 その後、ガジャの手下達が、一人になった私を、捕まえにやって来たんだけど、すぐにラルフ達が助けに来てくれた。
 アンナが、合気道で相手を倒した時は、驚いたけどね。
 でも、それは、昔、お姉さんを襲った悲劇のためなんだよね。)

「それに、アンナ、アイツ、私以外の誰にも話さないんだけどね・・・2年前、お姉さんをガジャに殺されてるのよ。」
「えっ!!?」
「正確に言えば自殺なんだけどね。そこまで追い込んだのは、間違いなくガジャの奴よ。
 その頃からガジャは、今のように女性に手を出すようになっていた。
 ある日、一人で家に帰ろうとしていたアンナのお姉さんは、途中でガジャの手下にさらわれて、ガジャの屋敷に連れていかれた。
 そこで何があったかは、想像したくないけど、とにかくガジャに、ひどい目に合わされた。
 その日の夜遅くに、お姉さんは帰ってきたらしいんだけど、お姉さんが被害を訴えても、誰も助けてくれなかったそうよ。」
「えっ、どうして?」
「ガジャが超人類で、このガイガードの支配者グラードの息子だからよ。」
「ひどい、いくら超人類だからって・・・」
「結局、その後、お姉さんは調子に乗ったガジャに何度も襲われ、耐えかねたお姉さんは、とうとう自殺しちゃったの。」
「・・・・・・」
「そんなアンナが今日、転校してきたニーナを見た時、自分の姉に似ていると私に話したんだ。」
「わ、私が?」
「容姿も少し似ているそうだけど、アンナが言うには、一番似ているのは性格や雰囲気だって。
 とにかく、ニーナは絶対ガジャが狙ってくるから、そうなったら私達で助けてあげようって。
 きっと、ニーナとお姉さんをダブらせてるのよね。」
「アンナが?」
「アイツ、ああいう性格だから、こういうことを表には出さない奴なんだよ。
 でも、お姉さんが死んだときのショックは、アイツの中には今でも大きく残ってる。」

(アンナ、ありがとう。そして、バーバラもありがとう。
 2人には、もう一度会って、お礼が言いたいよ。
 それから、みんな、毎日、私のことを守ってくれるために、家まで一緒に来てくれた。
 ラルフなんか、全く道が違うのに、私の家まで来てくれた。
 でも、部下をやられたガジャは、私達のいる教室まで来て、私達に襲いかかってきた。
 でも、この時も、みんなで私のことを守ってくれた。)

 ガジャは再び、ラルフ達に突進してきた。
 バーバラは、再びハンドガンを連発するが、今度はガジャの爪で全部はじかれてしまう。
「ここは通さないわよ。」
 突進するガジャの前に、アンナが立ちはだかる。
 ガジャの手を掴もうとするアンナだが、
「邪魔だ!!!」
 ガジャは前方にいたアンナを片手で張り倒すと、アンナは黒板まで吹き飛ばされ、体を叩きつけられた。
 バーバラが至近距離からハンドガンを連発するが、まるで効き目がない。
「フン、こんなおもちゃで、俺様が死ぬと思ってるのか。」
 ガジャは、バーバラの拳銃を取り上げ、両手で握りつぶすと、ただの鉄の塊にしてしまった。
「でも、バンバン打ってくれたから、結構痛かったぞ。」
「危ない、バーバラ!!!」
 ガジャの鋭い爪がバーバラめがけて振り下ろされようとしたその時、

 ドカッ!!!

 ガジャの鋭い爪をラルフが受け止めていた。
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2006年03月10日

ヴェスター総集編〜ラルフ編(4)

(この後、ニーナの祈りで、ペンダントから、ものすごい光が出てくると、闇のモンスターの魂は、光に包まれて、全部天に昇っていった。
 あれは・・・ニーナじゃないと、絶対に無理だったな。
 闇の魂達を解放して、ニーナも元気になって、俺達は最高のテンションで、ダークパレスに乗り込んで行った。
 だが、ダークソリアとの戦いは、完敗だった。
 ダークソリアのエネルギー障壁の前に、俺達は手も足も出ず・・・
 おまけに、ダークソリアの凄まじい魔法を受け、勝負は一瞬で終わった。)

 今度はダークソリアが巨大な魔法チャネルを開くと、ラルフ達の周りが、巨大な結界で囲まれる。

「な、何なの?」
「これは、結界だ!!!」
「結界だと?」
 ニーナ、ガルック、ラルフの3人は、今起こっている出来事にとまどいを隠せない。
「やばいで、この魔法は・・・」
「そうだ、デストライダー、お前の知っている魔法だ。」
 ダークソリアがさらに魔力を放出すると、結界の内部に、巨大なドラゴンが召喚される。
「なっ、ドラゴン!!!」
 ラルフはそう言うと、あまりの迫力に言葉を失った。
 ガルックも、ニーナもその圧倒的な迫力に呑まれていた。

「やばい!!!」
 デスやんが、とっさに3人の前に立ちはだかる。
「無駄だ、死ね。アルテノイド!!!」

 ダークソリアが魔法を唱えた瞬間、ドラゴンから強力な炎が吐かれる。
 ドラゴンの1500度の炎が、結界中に充満すると、次の瞬間、結界内は大爆発を起こした。
 結界が解けると、ドラゴンは消え、後には全員が倒れていた。

(1500度って・・・普通なら、跡形もなく、死んでいるところだ。
 俺達が、生きていられたのは、デスやんが体を張って守ってくれたからだ。
 俺達は、全員負傷してたけど、何とかまだ動ける状態にあったが、デスやんは、全身真っ黒に焼けただれて、ボロボロの姿になっていた。
 それでも、デスやんは、ダークソリアが、エネルギー補給基地に向かったことを知ると、力を振り絞って、俺達を背中に乗せて、運んでくれた。
 キルアから来ていた補給船は、補給基地の地下に隠れていた。
 地上に現れたところで、俺達はデスやんに乗って、補給基地に降り立った。
 デスやんが、補給船にしがみつくと、船の中から超人類が全員降りてきた。
 こうして、デスやんが、超人類達をおびき寄せてくれたおかげで、俺達は補給船の中にもぐりこむことができた。
 だが、そこでも、ダークソリアが現れて、補給船に乗ろうと近づいてきた。
 そのダークソリアを、命をかけて食い止めてくれたのが、デスやんだった。)

「発進はまだだ。私が、まだ乗っていない。」
 ダークソリアは、扉を閉めようとしたアルデックを軽く弾き飛ばすと、補給船に乗り込もうとする。
 だが、その時、ダークソリアの体を、背後から引っ張る手があった。
「あ、あんさんは、ワイと一緒に地球に残ってもらうで。」
 ダークソリアの後方にいたのは、デスやんだった。
 デスやんは、瀕死の状態にありながらも、ダークソリアの体を引っ張ると、宇宙船から引き剥がした。
「今のうちに、早く発進して。お願い。」
 ニーナがアルデックに今のうちに発進するよう話す。
 超人類達は黙ってニーナに従うと、扉を堅く閉め、緊急発進した。

 一方、ダークソリアの怒りは、最高潮に達していた。
「せっかく宇宙に脱出できるチャンスを、また無駄にしてたまるか。」
 ダークソリアは体から魔力を放出すると、デスやんを吹き飛ばす。
 だが、デスやんは体勢を立て直すと、必死にダークソリアにしがみつこうとする。
「お前を手下にしたのは失敗だった。死ね、デススパーク!!!」
 次の瞬間、黒い稲妻デススパークが、デスやんに何発も放たれる。
 だが、デススパークを受けながらも、デスやんはダークソリアに近づく。
(あの船が・・・大気圏を突破するまでの辛抱や。)
「ワイを倒さん限り、宇宙にはいかれへんで。」
 デスやんはフラフラになりながらも、口から火の玉を何発も吐き出す。

「ダークボム!!!」
 ダークソリアは、ダークボムで火の玉を全部吹き飛ばすと、周りにある無数の岩石を、魔力で持ち上げた。
「ここまでだ、デストライダー。もう時間がない。貴様には死んでもらう。」
 ダークソリアは空中に浮かぶと、周りの大量の岩石に魔力を込める。
 魔力を込められた岩は、ボワーッと紫色の明かりを帯びて、浮き上がる。

「死ね、ディスト!!!」
 ダークソリアが魔法ディストを唱えると、次の瞬間、魔力を注入された岩石群が、流星のごとく、デスやん目がけて一斉に降り注ぐ。
 魔力が注入された岩石1個の破壊力は、大型爆弾一発分に相当した。
 岩石群は、デスやん目がけて降り注ぐと、地上では大爆発が起こった。
 そして、大爆発の煙が収まると、そこには、クレーターのようにえぐれた地面だけが残っていた。

(この光景は、今でも俺の頭に焼きついている。
 これからも、ずっと忘れることはないだろう。
 デスやんが、命を賭けてダークソリアを食い止めてくれたお陰で、俺達はこうしてキルアに戻ってくることができたんだ。
 デスやん、ありがとな。俺、デスやんと交わしたあの時の約束、絶対に守るから・・・
 ニーナのことを、ずっと守るから・・・
 おっと、ようやくエネルギー補給船が動き出した。
 どうやら、エネルギー補給が終わって、キルアの宇宙港に向かっているみたいだ。
 ニーナとガルックは、キルアにいたから、キルアのことを知ってるけど、俺はキルアに行くのは初めてなので、今は少し楽しみにしてる。
 でも、キルア上陸は、俺にとっては、ガイガードに1歩近づいただけに過ぎない。
 俺は・・・早くガイガードに帰りたい。
 父さん、母さん、エミリーのいるガイガードに・・・
 俺は、ニーナと一緒に、絶対に、ガイガードに戻ってみせる。
 だから、父さん、母さん、エミリー・・・もう少しだけ、俺の帰りを待っててくれ。)


ヴェスター総集編〜ラルフ編(完)


あとがき
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2006年03月09日

ヴェスター総集編〜ラルフ編(3)

(あの時、助けてくれたお礼を、本当は、ガルックに言うべきだったんだけど・・・
 ガルックがニーナの幼馴染だとわかった時、その思いはどこかに飛んで消えていった。
 それからの、自分のことを思い出すのは、正直言って、すごい恥ずかしい。
 自分とガルックとの力の差と、そして、ニーナとの距離の差を、嫌というほど見せつけられた俺は、1人で荒れていたっけ。
 ガルックが、連れてってくれた村で、村がモンスターに襲われた時も、ガルックは次から次へとモンスターを倒していくのに、俺はニーナを守りきれずに、オークにボロボロに殴られて、やられてしまった。
 でも、あれ、後から聞いたら、俺がニーナを助けたらしいんだが・・・。
 とにかく、あの時の俺は、自分やニーナの身を守れるだけの、強い力を欲しがっていた。
 だから、リグアーさんに、修練の谷へ連れてってもらえるって聞いた時は、これで自分もようやく力を手にすることができるって思ったんだ。

 こうして俺達は、修練の谷へと向かうことになったんだけど、途中で死の森と呼ばれる恐ろしい森を通ることになったんだ。
 俺は、この森のことは、一生忘れられないだろう。(てゆうか、できれば忘れたい。)
 まずは、初めてデスやんと出会ったこと。
 ドラゴン・ゾンビのくせに、変な人間の言葉を喋るわ、ニーナを見た途端に態度を180度変えて、仲間になると言い出すわ、最初に会った時の印象は決して良くなかった。
 そして、もう一つは、修練の谷に着く前に、死の森でゾンビに噛まれてしまったこと。
 ゾンビに噛まれた者は、ゾンビウィルスにやられて死んで、その後、ゾンビになってしまうって聞いた時は、俺は、正直言って、生きることを諦めていた。こんなこと、ニーナに言ったら、怒られるかもしれないけど・・・
 ゾンビ・ウィルスを治す唯一の望みが、修練の谷にある聖なる方陣の光だと聞いた時は、少し希望が出たけど、でも、森を出たところで、ワイバーンに襲われて・・・
 これは後から聞いた話なんだけど、ワイバーンは俺を餌にしようとして口に加えたものの、俺がゾンビウィルスに感染していることに気づいて、慌てて飛び去って行ったそうだ。
 この時の俺は、もう意識もなく、ゾンビになるのも時間の問題だった。
 だけど、この時も、ニーナが俺の命を助けてくれた。)

 その時、ニーナの体から、まばゆいばかりの白い光が、ラルフめがけて発せられた。
「なっ、こ、これは・・・聖光気!!」
 ニーナの体から発せられる光を見て、リグアーは驚く。
「聖光気!?」
 ガルックが尋ねるが、リグアーは黙ってラルフを指差す。
「ほれ、ラルフを見てみろ。」
 リグアーに言われ、ラルフを見たガルックは驚く。
 何と、黒く変色していたラルフの体が、ニーナの光を浴びて、みるみる生気を取り戻していく。

「うっ・・・こ、ここは・・・」
 しばらくして、ラルフの意識が戻る。
 ラルフは、ニーナの全身が光っているのに気づく。
「よかった・・・ラルフが元に戻って・・・」
「これで・・・ニーナに命を助けてもらうのは2度目だね。」
 ラルフがそう言うと、ニーナは、ラルフに抱きついて号泣しだした。
 ニーナに抱きつかれて、顔を真っ赤にして慌てるラルフだったが、号泣し続けるニーナを見て、何とかニーナを泣き止まさせようと、ラルフはニーナにそっと声をかける。
「ニ、ニーナ、も、もう、俺なら大丈夫だからさ。
 もう泣くのはやめて、いつもの笑顔を見せてよ、ニーナ。」
 ラルフがそう言うと、涙で濡れた顔のまま、ニーナはラルフに向かって微笑んで見せた。
「ウンウン、やっぱり、ニーナはその笑顔が一番だ。」
 ラルフはそう言うと、ニーナの笑顔につられて、ラルフの顔にもいつしか笑顔が浮かんでいた。

(・・・・(赤面)
 と、とにかく、こうして修練の谷に着いた俺達は、早速魔法チャネルの取得を行うこととなった。
 魔法チャネルの取得は困難と聞いてたが、ニーナがあっさりと取得したのを見た時は、俺も案外あっさりと取得できるんじゃないかって思ったんだ。
 でも、俺の場合は、何度やっても、魔法チャネルから弾かれてしまう。
 そして、遺伝的に、魔法取得が無理だと、リグアーさんから聞かされた時は、絶望的な気分になった。
 でも、リグアーさんが俺を修練の谷に連れてきたのは、魔法の取得が目的ではなかったんだ。)

「ガルックよ、もし、ラルフのその力が、最強の能力だとしたらどうする?」
「えっ!?」
 ガルックだけでなく、ラルフとニーナも、思わずリグアーの方を向く。
「確かにラルフは、魔法が使えんが、それを補うだけの力を持っている。
 だからこそ、ワシは、ラルフを修練の谷に連れてきたんじゃ。」
 リグアーはそう言うと、ラルフの方を向いて話し出す。
「ラルフよ、お前には他の2人にない、素晴らしい才能がある。
 だが、その才能を開花させるには、ハードな試練に耐える必要がある。」
「リグアーさん、俺、何でもやります。
 このまま、みんなのお荷物になるなんて嫌だ。」
 ラルフは、リグアーの方を見つめると、そう言った。
「そうか、じゃあ、ここの一番奥にある部屋に行くがいい。
 お前を鍛えてくれる男が、そこで待っている。」

(こうして、一番奥の部屋で、ゾルドさんと出会った俺は、ヴェクト・ソードの使い方を、ゾルドさんから教えてもらうことになった。
 ゾルドさんは、メチャクチャ厳しくて、メチャクチャ強い人だった。
 そして、あの人とも、何か運命的なものを感じるんだ。
 ゾルドさんとは、きっとまた、どこかで会うような気がする。
 こうして、ヴェクト・ソードを使えるようになった俺は、外で、皆に襲いかかっていたゴーレムを、早速ヴェクト・ソードを使って、あっさりと(ここ強調ね)倒した。
 その後、リグアーさんから、キルアの補給船が地球に来ることを教えてもらった俺達は、修練の谷を出て、補給基地へ向かうことになった。
 また、死の森に入った時は、正直、ゾクッとしたけど・・・
 でも、今度は、全員無事に死の森を出ると、俺達はリグアーさんと別れて、コロニーに向かうことになった。
 ここでも、色々あったなあ。
 でも、一番、印象的だったのは、やっぱりニーナのことかな。
 ある日、モンスターを殺さないって言い出した時は、俺もガルックもビックリした。
 まあ、何でそんなことを言い出したのか、俺は知ってたけどさ。)

 ニーナの様子が、おかしいことにデスやんも気づく。
「ニーナはん、どないしたんや。」
「私、今までモンスターのこと、何も考えずに戦ってきた。
 モンスターだって、この世界で必死に生きてるのに、私は、魔法で・・・」
 ニーナはそう言うと、涙ぐんで言葉を詰まらす。
「ニーナはん、それはしゃあないよ。
 元はといえば、襲いかかって来るモンスターの方が、悪いんやから。」
「違う、私は、魔法が使えることが嬉しくて、モンスターに魔法をかけて、
殺してきたんだよ。私は・・・なんて・・・ひどいことを・・・」

(ニーナは、本当に優しい子だなあって、この時思ったけど、正直言って、俺には理解できない考えでもあった。
 モンスターが襲ってくる以上、倒すしか他にはないだろうって俺は思ってたから・・・
 ニーナと意見が対立したのは、これが初めてだった。でも、これで、俺はニーナを嫌いになったりなんかしない。だって、全く同じ考えの人間なんて、この世には存在しないんだから・・・
 でも、ニーナの魔法が、予想以上に強力だったこともあって、俺達は、いつしかニーナの強力な魔法に頼るようになっていたんだ。
 だから、ニーナに魔法を封印されると、戦力が大幅にダウンすることになり、俺やガルックはそのことばかり心配していた。
 でも、ニーナは、新しい魔法パラボルトを覚えると、それ以降の戦いでは、パラボルトを使うようになった。
 初めてパラボルトを使うのを見た時は、モンスターを殺さないって考えを、あくまでも貫こうとするニーナのことを、強いなあって思った。
 この一件で、俺は、ますますニーナのことを・・・いや・・・その・・・
 ま、まあ、これが、もしアンナだったら、こんな問題もなかったんだろうけどね。
 てゆうか、アンナだったら、率先して参戦しそうだ。
 その後、ダークパレスにたどり着いた俺達は、ニーナに、ペンダントで闇のモンスターを倒すように頼むんだけど・・・)

「ニーナ、今こそ、あのペンダントを使う時だ。」
 ラルフが、ニーナにそう話すが、ニーナはためらう。
「ダメ・・・私には、できない。」
 そう呟くニーナに、デスやんが話しかける。

「ニーナはん、あいつらも確かにモンスターやけど、他のモンスターと違って
、ダークソリアの闇の力に捕らえられた魂が、モンスター化したものなんや。
 ニーナはん、お願いや。
 モンスターを倒さへんちゅう、ニーナはんの決意はわかったけど、
あいつらだけは倒して、いや救ってやってほしいんや。
 このままやと、あいつらは、生まれ変わることもできずに、ダークソリアの
手先として、永遠にこの世を彷徨うことになるんや。」
 デスやんはそう言うと、ニーナに頭を下げる。
「デスやん・・・わかった・・・私、やってみる。」
 ニーナは小さな声で頷くと、ペンダントを手に握り締めた。
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2006年03月08日

ヴェスター総集編〜ラルフ編(2)

(この時、実は恋人だと思ってるって、俺が言ったら、ニーナはどんな反応を示しただろう?
・・・・・・・・・言ってないことを、考えるだけ無駄だな。それに、そんなこと言う勇気もなかったし・・・
でも、あの時は、天にも昇るような嬉しさだったのを覚えている。
あんなに嬉しかったの、生まれて初めてだった・・・てのは少し大げさかな?
その後、みんなとバーベキューパーティーすることになったんだけど、妹のエミリーは、学校さぼって帰ってくるし、フライヤは、エミリーに、ずっとつきまとってることが発覚したりで、まあ、いろいろあったっけ。
そして、父さんが帰ってきて、なぜか腕相撲をすることに・・・)

「何だ何だ、ラルフ、しばらく見ない間に、女の子の尻に敷かれるようになっちまったのか?
 情けない。ようし、こうなったらワシがラルフに喝を入れてやろう。」
 そう言うと、ラルフの父は横になると腕相撲の構えを示した。
「フッフッフ、父さん、この間、俺に3連敗して、失意のままエウロパに旅立ったことを忘れたのかい?
 また返り討ちにしてやるよ。」
 ラルフはそう言うと、がっちりと父の手を掴むと、腕相撲の構えを行なった。
「何だか、面白くなってきたわね。」
 アンナは肉を食べながら、二人の腕相撲を見に行く。
「でも、ラルフの怪力を考えたら、やっぱりラルフの勝ちじゃ。」
「でも、親父さんも、すごい筋肉してるじゃん。」
 ニックとプランタも2人の腕相撲に目が行く。
「じゃあ、私の合図で初めだからね。」
 エミリーがいつものように2人の手を掴むと、
「Ready Go!!!」

(父さん・・・無事でいるだろうか?
今考えると、父さんが帰ってきたのって、俺達がこうなるのを知ってて、帰ってきたんじゃないかって思えるくらい、ドンピシャのタイミングだった。
俺とニーナは、翌日ガイガードの軍隊に連行されて、ガイガード基地の隣にあるバイオ工場に連れて行かれた。
そこで、見たものは・・・工場で生産されている、俺達旧人類の赤ちゃんだった。)

「残念ながら、お前達旧人類は、あの戦争で絶滅してしまった。
 我が父グラドスは、4騎士を静めたものの、超人類側にも大損害を与え、さらに旧人類を滅ぼした罪で訴えられた。
 その頃の超人類達は、旧人類を滅ぼそうとまでは考えていなかったのだ。
 罪を感じた我が父グラドスは、種の保存を考えた。
 この戦争で滅びていった種を、当時のバイオテクノロジーで復活させていった。
 鳥も、動物も、そして人間も、こうしてグラドスの手によって復活させられた。
 だが、さしものグラドスも旧人類だけは、なかなか完全に復元できなかった。
 ほとんどの問題は克服されたが、一つだけ、しかし重要な問題が、まだ解決されなかった。
 それは、生命にとって重要な生殖に関する問題だった。
 旧人類の女性が、子供を産み落としても、生まれてきた子は必ず遺伝子に欠陥があり、すぐに死んでしまうのだ。」

「嘘だ、俺は、母さんから生まれてきたんだ。」
「違う、実際に母親から生まれてきたお前は、数時間で死亡しているのだよ。
 我が父グラドスも、この原因だけはついにわからなかった。
 そして、わからないまま、ある日、突然行方をくらました。
 結局、両親の遺伝子を密かに入手して、工場で赤子を作り、病院ですりかえるという作業が必要になった。
 どうして病院が、軍の管轄下にあるか、これでわかっただろう。」

(正直、この事実を知った時は・・・何も考えられなくなった。
でも、目の前でニーナが泣いているのを見た時、何とかニーナを助けないとって思った。
その時、父さんが、バイオ基地まで俺達を助けに来てくれた。
でも・・・)

 だが、その時、ガイガード基地から、大量の兵士が飛び出して来た。
 エリックは両手に持っていた機関銃を一斉にぶっ放す。
「ラルフ、ここは俺に任せて、早くニーナちゃんを連れて逃げろ。」
「でも、父さん・・・」
「俺のことなら心配するな。帰ったらまた腕相撲をしよう。
 お前には負けっぱなしだったからな。」
「・・・今度やる時も、俺が勝つよ。」
 ラルフはそう言い、父と握手を交わすと、ニーナと一緒にその場から逃げ出した。
「ラルフ、お父さんが・・・」
「大丈夫、父さんはきっと生きて帰ってくるさ。」
 ラルフはニーナにそう言うと、目に溢れる涙をこらえて必死に走り続けた。

(父さん、無事でいてくれ・・・。俺、何としてもガイガードに帰るから、その時は、また腕相撲をしよう。もちろん、今度も俺が勝つけどね。
俺達は、居住区に逃げようとしたが、グラードが居住区を封鎖したおかげで、俺達は帰れなくなった。
その時、ニーナの父さんが、俺達を隠し通路に案内してくれた。
そこは、重犯罪者を地球に送るための、専用の戦闘機発射口だった。)

「この戦闘機に乗って、地球に脱出するんだ。」
「地球!?だって、地球はもう人の住めない環境になったんじゃ・・・」
 ラルフが驚いてブライトに尋ねる。
「厳密に言うと、人間が生存できないわけではない。
 だが、戦争による環境悪化と、グラードが何度もモンスターを放つため、生態環境はメチャクチャだ。周りには絶えず死の危険で溢れている。
そんなことから、いつしか皆は地球のことを地獄と呼ぶようになった。」
「地獄・・・」
「地獄には犯罪者達も送り込まれる。死刑よりも重い判決だ。
 そんなところに私のかわいい娘を送り出すのは、本当に辛い。」
「お父さん・・・」
「でも、もう、これしか方法がないんだよ。許してくれ、ニーナ。」
 そう言うと、ブライトはニーナを抱きしめた。
 泣いて父にすがるニーナを見て、ラルフの目からも思わず涙がこぼれる。

(そして、俺達は戦闘機に乗って、ガイガードを脱出した。)

 一方、ラルフとニーナは遠く離れていくガイガードをいつまでも眺めていた。
「さよなら、ガイガード。さよなら、父さん、母さん、エミリー。」
 ラルフが、そう言うと、ニーナはラルフに泣いて謝る。
「ゴメンね、私のせいで、こんなことになって・・・」
「ウウン、違う。これが運命だったんだよ。俺の、そしてニーナの。
 随分辛い運命になりそうだけど、頑張ろうよ。
 まだ俺達は生きてるんだからさ。」

(我ながら、臭いセリフを、よく言えたもんだって思うよ。
本当は、泣きたくてたまらなかったくせに・・・。
でも、ニーナと最初に出会った時から、感じていた運命的なものは、こういうことだったんだって、この時思った。
そして、俺とニーナは地球に降り立った。
最初に、地球を見た時は、もう絶句したよ。
見たことない化け物に追いかけ回されたり、やっと人間に会えたって思ったらゾンビだったり・・・
正直、あの時、ガルックが助けに来てくれなかったら、やばかったな。)

 ラルフとニーナは、ゾンビとオークの大群に囲まれていた。
「ラルフ、あの高台に逃げよう。」
「ダメだ、ゾンビはともかくアイツらに追いつかれる。」
 ラルフもニーナも絶望的な気持ちになったその時・・・

「ファイアーボール!!!」

 その声と共に、巨大な火の玉が飛んでくると、オークの群れに直撃した。
 炎に焼かれて、生き残ったオーク達は一斉に逃げ出す。
「何だ、今のは?」
 ラルフが驚いたように回りを見渡す。
「あの高台に、人がいるよ。」
 ニーナが指さす高台の方向には、確かに人影が見えた。

「ファイアーボール!!!」
 男がそう言うと、今度は3つの巨大なファイアーボールが現れた。
 男がその3つの火の玉を振り下ろすと、その火の玉はゾンビの群れに直撃した。
posted by VesterProject at 21:25| 大阪 | Comment(0) | TrackBack(0) | 総集編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月07日

ヴェスター総集編〜ラルフ編(1)

(俺の名前は、ラルフ=ガートナー。
スペースコロニー・ガイガードに住む、オレンジ・ハイスクールの2年生・・・だったんだけど、わけあって、なぜか、今は、スペースコロニー・キルアのエネルギー補給船にいる。
今は、エネルギー補給が終わるのを待って、補給船の中で、ひたすらボーッとしてる。
こうしてボーッとしてると、なんだか昔のことを思い出してくる。
隣にいるニーナの笑顔を見ていると、やっぱり、あの日のことを思い出すな。
今、思えば、全ては、あの日が始まりだったような気がする。
あの日・・・遅刻常習犯の俺は、いつものように、学校に向かって全力疾走していた。
そして、いつものように学校の途中にある、あのT字路に差しかかった時・・・)

「うわーーーーーっ!!!!」
「きゃあーーーーっ!!!!」

 二人とも悲鳴を上げるが、全力疾走で走っていたため、かわせずにぶつかってしまう。
「アイタタタ・・・」
 ニーナは腰を押さえながら、ゆっくりと起き上がろうとする。
「だ、大丈夫?」
 ラルフは心配そうにニーナの顔を覗き込むが、その子のあまりのかわいさに、思わず見とれてしまう。
 ニーナの方を見て、ボーっとしているラルフの様子を見て、逆にニーナの方が声をかける。

「あ、あの、大丈夫ですか?
 私、考えごとしてて、前、見てなかったから・・・ゴメンなさい。」
 そう言うと、ニーナは深々とラルフに頭を下げた。
「い、いえ、こっちの方こそ前を気にしないで全力疾走してたから・・・」
 二人ともしばらくお互いに謝りあっていたが、ニーナはふと時計を見ると慌てる。
「いっけない、もうこんな時間!!!私、急ぐのでこれで失礼します。ホントにゴメンなさい。」
 ニーナはそう言うと、再び走りだすと、ラルフの元から去っていった。

(あれが、ニーナとの初めての出会いだったな。
あの時、あの会った瞬間から、俺はニーナに、何か運命的なものを感じていた。
これが・・・一目ぼれって奴だったなのかな?
今まで、こんな気持ちになったことなかったから、よくわかんないんだ。
だが、ニックとプランタ曰く、これはどうやら一目ぼれらしい。
どうやら俺は、生まれて初めて、女の子に一目ぼれしたみたいなんだ。
でも、ニーナに一目ぼれしたのは、俺だけじゃなかったようで、あの時は大変だったよ。
カフェテリアで、ニーナに声をかけられた時は・・・)

「やあ・・・」
「や・・・やあ・・・」
「朝は本当にゴメンなさいね。え・・・えっと・・・」
「あっ、俺の名前はラルフ=ガートナー。よろしくね。」
「あっ、ゴメンなさい。まだ全員の名前が覚えられなくて・・・」
「うちのクラスだけで40人もいるから、今日一日じゃ仕方がないよ。」
 謝りぱなしのニーナに少し苦笑しながら答えるラルフ。
「そうだね。でも、これで君のことは覚えたからね。ラルフ君。」
 ニーナは微笑ながら、ラルフにそう言うと、ラルフは真っ赤になって
「そ、そう、ありがとう」と答えるのがやっとだった。
「どうしたの、ラルフ君、どこか、具合でも悪いの?」
「い、いや、そうじゃないんだ・・・」
 その時、背後から、女の子達がニーナを呼ぶ声がした。
「じゃあ、またね。」
 ニーナはそう言ってラルフに手を振ると、女性陣の方へと駆け寄っていった。

 一方、ラルフとニーナの会話のやり取りを見ていた周りの男達がラルフを取り囲む。
「ラルフ君、今のは一体どういうことかね?」
 一見丁寧で静かだが、明らかに激怒しているのがわかる口調で、ニックがラルフに問いかける。
「い、いや、朝、学校に向かう途中でぶつかっただけで・・・」
「本当にそれだけなのか?」
 ブランタが凄まじい形相で睨みつける。
「ほ、本当なんだってば・・・」
 さっきのやりとりを見ていた他の男子も、ラルフの元にやってくると、ラルフの周りをぐるりと囲んだ。

(いやあ、あの時は、マジで友達に殺されるんじゃないかって思ったよ。
でも、オレンジ・ハイスクールでのニーナとの楽しい思い出って、実際、あんまりないんだよな。
それもこれも、みんなガジャのおかげだ。
ガジャは、女の子に手当たり次第に手を出していた、俺から言わせれば、ただの変質者なんだが、奴が超人類で、しかもガイガード支配者グラードの息子だから、タチが悪かった。
しかも、アイツは目的のためには、手段を選ばない。ガジャに抵抗した人達は、全員ガジャに殺された。旧人類の命のことなど、ガジャは何とも思っていないんだ。
まあ、その理由は、後でわかるんだけど・・・
そのガジャが、ニーナに目をつけ、教室までやって来た時は、俺達は必死で抵抗した。
でも、バーバラがハンドガン使って攻撃しても、超人類のガジャには全く効かないし、さらに獣人化してパワーアップしたガジャは、もう俺達の手に負える相手ではなくなっていた。
あの時は、俺も、アンナもガジャに殺されかけて、ニーナを守る者は誰もいなくて、大ピンチだったんだ。でも・・・)

「待たせたな、ニーナ。では私の屋敷に行こうか。」
 ガジャがニーナに迫ってくるが、ニーナは逃げようとしなかった。
 ガジャを睨みつけながら、今や瀕死のラルフとアンナのことばかり考えていた。
(アンナもラルフ君も私のために戦い、傷つき、死にかけているというのに・・・
それなのに、私は・・・私は・・・何もできないの・・・・)
 ニーナは、自分の無力さを呪い、ニーナの気持ちが深く沈んだ瞬間、
ニーナの体から、突然まばゆい光が発せられた。
「ぐあっ!な、何だ、この光は?」
 あまりのまぶしさに、ガジャは思わず目を閉じてしまう。
 ニーナの体から発した光は、ラルフとアンナめがけて飛んでいった。
 すると、なんと2人の傷がみるみるうちに完全回復していく。

「な、な、何ぃ!!!」
 ラルフとアンナは傷が回復すると、静かに目を開いた。
 意識を取り戻したラルフとアンナは、完全に回復した自分の体と、ニーナの体から発せられる光に驚いていた。
 ニーナは、ガジャめがけて残りの光を放った。
 ガジャは、その光の直撃を受けると、何と変身が解けてしまった。
「なななな、そんな・・・変身が・・・解けた。力が・・・抜けていく・・・。」
 ガジャの変身を解くと、ニーナはそのまま意識を失う。
 倒れそうになっているニーナを、慌ててアンナが支える。

(この時、俺は、初めてニーナに命を助けられた。
でも、ニーナのこの光って、一体何なんだろう?
まあ、いいや。
この力のお陰で、この後、俺は何とかガジャに勝てたんだから・・・
で、これをきっかけに、俺とニーナは親友になったんだ。
そう言えば、この時まで、俺、ニーナさんって言ってたんだよな。)

「だって、私の命を2度も救ってくれた恩人だよ。
 私、ラルフにとっても感謝してるし、ラルフのこと、親友だと思ってるから、そう呼びたいんだけど、ダメかな?」
「もちろん、ラルフでいいよ。それに俺もニーナさんのこと、そ、その、し、親友だって思ってるし。」
「じゃあ、ラルフもこれからは、私の名前を呼ぶ時は『さん』を取って呼んで欲しいな。」
「ええっ、ニ、ニーナって呼ぶの?」
「それとも、何か問題でも?」
「じゃあニーナさん、いや、ニーナ、俺の親友になってくれますか?」
「こちらこそ、あらためてよろしくおねがいします。ラルフ。」
 2人は向かい合って挨拶すると、それがあまりにもおかしかったのか、気がつくと、2人とも爆笑していた。
posted by VesterProject at 22:06| 大阪 | Comment(0) | TrackBack(0) | 総集編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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